29 助っ人登場 其の2
いやぁ、ホンダシビックも一緒にタイムスリップしてたんですねぇ…
今後、大いに活躍してくれそうです!
そして、今回は、重兵衛にとって、とても心強い味方が現れそうです!!
それでは本編を、どうぞお楽しみに下さいませ…
私は恐る恐る枝葉を祓いながら、運転席のドアを開けてみた…
膝掛けやペットボトルが散乱していたが、室内は割と綺麗なままだった…
スターターにはキーが差し込まれたままになっていた…
私は駄目元でスターターを回してみた…
空振りである…
(やはり駄目か…)
(まぁ、そりゃそうだよな…)
(しかし、物は試しである…)
私はもう一度、スターターを回してみた…
カスン…カスン…カスン…カスン…
(んっ?…少し反応が!)
(もう一度!)
カスン…カスン…カスン…カスン…
(もう一回!!)
カスン…カスン…カスン…ブローンッ…ヴォッ…ヴォッ…ヴォッ…ヴォッ…ヴォッ…ヴォッ…
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
私は一人で叫んでしまった!
ホンダシビックは生きていたっ!!
10年もこの叢でほったらかしにされていたのに…
(何て凄いクルマなんだっ!!!)
私はガソリンメーターを見てみた…
(確か甲府から帰る時に満タンにして来た筈だから…)
(おぉっ!4分の3は残っているっ!!)
(これだけあれば…あと500km位は走れるだろう?)
私は久しぶりにホンダシビックのアイドリング音を聞いて楽しんでいた…
(動くかな…?)
シフトをそっとDレンジに入れてみた…
カチッ…カチッ…
(動いたっ!)
私は慌ててブレーキを踏んだ…
(止まった!!)
私は後方にチョットしたスペースがあるのを確認して、シフトレバーをRレンジに入れてクルマをバックさせてみた…
しっかりと後ろに下がってくれた…
私はブレーキを踏んでサイドブレーキを引いてクルマから降り、エクステリアを観察した…
(可哀相に…)
元々、傷だらけではあったが…
まるで、刑事コロンボの愛車のように色はくすみ、ボディはボコボコ、リヤバンパーは外れかかっていた…
私はリヤバンパーを手で叩きながら何とか元の位置にはめ込んだ…
(見てくれは宜しくないが…未だ未だ走れそうだ…)
(サイドミラーも付いている!)
私は再び運転席に乗り込み、ライトのスイッチを捻ってみた…
パッと辺りが明るくなった!
私は慌ててスイッチを捻ってライトを消した…
誰にも気付かれてはいないようだ…
電動ミラーを動かしてみた…
(動いたっ!)
私はハッとしてエンジンを止めた…
(ガソリン温存である!)
(きっと、いつか役に立つ時が来る…)
私はそう考えて、ホンダシビックに、また小枝や葉っぱをいっぱい被せてから、誰にも気付かれないように、再び宴の席に戻ったのだった…
そこへ、一人の侍が私の処へやって来た…
「重兵衛様、一杯どうぞ!」
「おっ、これはどうも忝ない」
私はそう言って、グイッと杯を飲み干してから、その侍にも一杯注いでやった…
「こりゃどうもっ!」
そう言って、その侍は旨そうに杯を飲み干した…
「確か…御主は…殿の処の…」
「はい、馬廻りを任せて頂いて居ります海老原伸由と申します!」
「おぉっ、そうであった!海老原殿…海老原伸由…?殿…」
私はまじまじと海老原殿の顔を覗き込んだ…
「えっ?!」
私は仰天した…
「やっと御気付きか?!ノブですよっ!!ノブ!」
「えっ?!うそぉっ…」
「だから…ホントに俺ですよ!ノブですって!!」
「ノブッ?!マジッ?!ホントにっ?!」
私はノブの顔を指差して言った…
(このダミ声はどっかで聞いたことがあるなぁ…とは思っていたのだけれど…
470年後の世で、私と同僚として働いていたことがある海老原伸由君が、この戦国時代の今、私の目の前に侍の格好をして立っているではないかっ!!)
「ノブっ、今、戦国時代だぞっ?!何で、この時代にノブが居るんだっ?!」
「同じですよ!永田さんと!」
「えっ?!」
「あの時、一緒にタイムスリップしたんですよ!」
「あの時って…」
「雪が降った日に、圏央道で、トレーラーが横転したまま滑って来たでしょ?!」
「えっ?あれ、ノブだったの?!」
「はい…」
「えぇぇぇぇぇっ?!」
「あん時、スゲェ雷が落ちて、その衝撃で多分…」
「タイムスリップしたって言うことか…?」
「はい…」
「しかし、こんな事が本当にあるとはなぁ?!」
「はい、映画の戦国自衛隊みたいですよね?」
「うん…しかし、お互いに、この時代に良く馴染んでるよなぁ…?」
「はい、永田さんは凄いっすよ!今や城持ちですからね?!」
「ノブも殿の馬廻り役とは良いポジションに収まったなぁ?!」
「しかし、永田さん強ぇーっすね?!この時代に来て良かったっすね?!」
「馬鹿言えっ?!…でも、殿と政重様と道鎮殿のことは…何か昔からの友人の様に感じているんだよ…だから殿の為、政重様の為に働けるのは凄く嬉しいんだよな…」
「分かります!俺も永田さんが『吉沼の戦い』で活躍した頃に治親様に拾われて殿の馬の世話をさせて貰う様になったんです…八年位前ですかね?とても優しい御方です!それまでは二年程乞食同然の暮らしをしていました…」
『本当に?!何で言ってくれなかったんだよ?!』
「はい…実は…さっき、永田さん金村台の森に行ってましたよね?」
「えっ?気付いてたの?!」
「はい、ホンダシビックありましたよね?!」
「えっ?あ…うん…」
「自分が整備しておきました!いつでも動かせますよ!!」
「えぇぇっ?!そうだったんだぁ?!有り難う!エンジンかかったよ!!でも、どうやって?!」
「はい、自分の乗ってたトラックも、実はあったんですよ…」
「えぇぇぇぇぇっ?!」
「トラックには色々と工具が積んでありましてね…10トントラックもいつでも出動出来るようになってます!!」
「本当に?!そりゃ凄いぞ!!」
「いざって時は、いつでも2台で暴れられる様になってます!!」
「ノブ!でかしたっ!!!でも、そのトラックは何処にあるのっ?!」
「シビックと同じ場所ですよ!」
「シビックしか無かったけど…」
「はっはっはっはっはっ…シビックの下に有ります!」
「えぇっ?!そう言えば少し小高い丘になってたけど…まさか…?」
「そう!そのまさか!!木の葉や枝や土を盛って、山の中に隠して有ります!」
「ノブ!凄いぞ!!って…確か…ノブって…自衛隊出身だよね?」
「はい!正に戦国自衛隊です!」
「あっはっはっはっはっ…」「わっはっはっはっは…」
(つづく)
何と、戦国時代の豊田城内で…470年後の令和の時代に同僚だった海老原伸由君と再会した重兵衛…
気心の知れた頼りになる助っ人の登場に心が和みました…
自衛隊出身のこの助っ人が、今後、いろいろと重兵衛を助けてくれそうです…
それでは次回「つぐみ龍の伝説」は…
『30 助っ人登場 其の3』にどうぞ御期待下さい!




