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23 五家・千本木の戦い (其の3)

一難去って、また一難…


今回は、重兵衛の行く手を阻む、多賀谷家随一の曲者(くせもの)との対決です!!


見たこともない様な武器を駆使する、この曲者に苦戦する重兵衛…


勝敗の行方は如何に…?


それでは本編をどうぞお楽しみ下さいませ…




「某の名は青木 治部(じぶ)!ここから先へは一歩も通さぬぞっ!!」


私と千代王は急停止した…


(青木治部…小柄だが…中々の知将と聞く…)


「某は、豊田家家臣・永田重兵衛常充…八幡太郎様より拝領仕った当家の領内を土足で踏みにじるとは言語道断!成敗致す…」


「ふっふっふっふっふっ…その様な戯言(たわごと)をいつまで申すつもりか?永田殿?!戦国乱世のこの時代、力の強き者が、弱き者を屈服させて、大国を成してゆくもの…そして、やがて、その強き者こそが、この戦乱の世を鎮め、平らかな世を作るものと信じる…そして、その強き者とは、これ即ち、下妻多賀谷家なりっ!!」


私は間髪を入れずに言い返した……


「戯言を申すは青木殿、そちらの方であろう?!戦乱の世を鎮め、平らかな世を創(つくる)は、強き者に非(あら)ず!心優しき者なり…その、心優しき御方を御支え致すが、強き者の役目と心得る!!」


「ふんっ、では聞くが、その心優しき御方とは、いったい誰のことなのじゃ?!」


「知れたことを…無論、我が主(あるじ)、豊田安芸守治親(とよだあきのかみはるちか)様じゃ!そして、徳川家康様じゃ!」


「と…徳川家康…じゃと…?…話にならぬな…御主は…」


青木殿は、見たこともない武器を右手に持って、此方(こちら)へ栗毛の馬と共に向かってきた…


そして、それを此方へ向けて伸ばしてきた…


シュルシュルシュルシュルシュルッ…


針の様に先端の尖った部分が私の頬を掠(かす)めていった…


と思ったら、その針の先端はもう、青木殿の元へ戻っていた…


私の左頬から、タラリと一筋の血が流れた…


「次は脳天に当ててやろうか永田殿?ふっふっふっふっふっ…」


私と千代王は、怯(ひる)まずに前へ出た…


(先程の様な間合いを与えなければ、あの武器は使えまい…)


シュルシュルシュルシュルシュルッ…………ガシッ…


針の先端が、今度は黄金の兜に当たって逸れた…


私は少し頭がクラっとしたが、何とか持ちれこたえた…


「永田殿、どうしたのじゃ?御主の得意な妖術とやらは使わぬのか?!」


私は少し、たじろいだ…


「ならば、そろそろ止めを刺してやろうか?ふっふっふっふっふっ…」


青木殿が、そう言った時、天空に稲妻が走り、雷鳴が大地に轟いた…


「行くぞ、永田殿っ!覚悟っ!!」


私は身体が熱くなっていくのを感じて、目を閉じた…


「永田殿…御主、観念したのかっ?!」


そう言って青木殿は、針の先端を私の方へ伸ばしてきた…


シュルシュルシュルシュルシュルッ…………………


「来るっ!!」


私はカッと目を見開き、寸でのところで針の先端を躱(かわ)し、太刀を抜いて天に翳(かざ)した…


私の身体中から青白い火花が散った…


青木殿の武器の先端が戻って来るのを計算して、私はその先端付近の鎖に巧いこと太刀を絡ませた…


針の先端は、私の太刀を鎖に絡めたまま、勢い良く青木殿の元へ戻っていった…


シュルシュルシュルシュルシュルッ…………………


グサッ……………


針の先端が青木殿の処へ戻るよりも先に、鎖に絡まった私の太刀が、一足早く青木殿の左胸に突き刺さっていた…


「うぅっ…さっ…流石じゃ…永田…重兵衛ぇぇっ…」


そう言い残して、青木殿は栗毛の馬から転げ落ちた…


青木治部殿の最期の言葉を聞いた私は、千代王から降りて、自分の太刀を引き抜き、鎖から外して鞘に収め、手を合わせてから立ち上がった…


「な…何と言うことだ!!」「逃げろぉぉぉぉっ!!」


「やっぱりあいつは雷神だぁっ!」「逃げろぉぉっ!」


「殺されるぞぉぉぉっ!!」「どいてくれぇっ!!」


又しても敵兵達はパニック状態に陥っていった…


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」


私は、また、叫びながら太刀を天に向けて翳した…


敵兵達は、更に慌てふためき、逃げ惑い、私の前に、またもやポッカリと道が開けていった…


「でかしたぞ重兵衛っ!!」


政重様は「早奴(はややっこ)」に、道鎮殿は「北斗王」に跨がって現れた…


無論、其々の近くには、源左衛門と三五郎が、しっかりと付いてくれている…


「大事ないか?重兵衛っ!!」


「はいっ!皆様も良くぞ御無事でっ!」


「うむ、御主のお陰で、もう、半数程の敵を蹴散らしたわ!最早、敵は逃げ惑うばかり…」


「しかし…政重様、油断は禁物です!未だ多賀谷政経はおろか、白井全洞の姿すら見えませぬ!!」


「なぁに、大方、此方の勢いに怖じ気付いて尻尾を巻いて逃げ帰ったんじゃろう?!」


「はぁ…しかし…どうも某、腑に落ちませぬ…皆様、今一度、油断なさらずに参りましょう!!」


そう言って私は、源左衛門と三五郎に目配せした…


二人ともコクりと頷いた…


「さぁっ、豊田・石毛・古間木・四ヵ村・北域の勇者達よ!敵陣迄もう一息じゃあっ!!一気に参るぞぉっ!!」


おおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!!


私達は政重様を先頭に、ひたすら前へ前へと突き進んでいった………………………


敵兵達は、唯々、逃げ惑うばかりである……………………


                   (次回につづく)

青木治部殿…強敵でしたね…


底知れぬ多賀谷家の曲者達…


何やら不穏な空気が漂って居ます…


次回「つぐみ龍の伝説」は…


第24話 「五家・千本木の戦い (其の4)」に、どうぞ御期待下さい!


尚、この物語は完全にフィクションであり、登場人物と実在した人物とは全く異なって居ります事を、どうか予め御承知おき下さいますよう御願い申し上げます…。


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