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13/15

⑬ 向石下城の戦い

今度は、向石下城に多賀谷勢が攻めて参ります!

とんでもない強敵の出現も…

重兵衛は仲間達を護りきれるのでしょうか…?

それでは、本編をお楽しみくださいませ…

私は千代王(チヨノオー)の背中の上で妙な胸騒ぎに駆られていた…


(我々は吉沼栗崎城の戦い以来、約2年間…着実に備えてきたが…敵も…この2年間、何も策を練っていない筈も無かろう?…何を企んでいる?…白井全洞…んっ?!…火だ!…確か…向石下城は…火炎攻めにあって…落城するのでは?!…しまったぁっ!こんな大事なことを失念していたとは?!)


向石下城に着くと、私は直ぐに千代王から降りて吉沼勢を待機させて、館武蔵守宣重(たてむさしのかみのぶしげ)様の元へ走った…


「武蔵守様!!」


「おぉっ、重兵衛殿!良く来てくれた!!」


「はぁっ!実は、武蔵野守様に御願いしたき儀が御座ります!」


「ん?!何じゃ?重兵衛殿、如何した?」


「はぁっ!大至急、(おけ)柄杓(ひしゃく)を用意して頂きとう存じまするっ!」


「何じゃ?桶と…柄杓…で御座るか?」


「はぁっ!水を汲む桶と柄杓を、今すぐ、有りっ丈、御用意下さりませっ!!」


「な…何故に御座るか?!」


「火に御座ります!!」


「火…で御座るか?」


「はぁっ!敵は恐らく、此方へ火を放って参るかと存じまするっ!」


「そ…それは、真か?!重兵衛殿っ!!」


「はぁっ!」


「あ…相分かったぁっ!皆の者っ!桶と柄杓じゃっ!水を汲む桶と柄杓を有りっ丈、集めるのじゃぁっ!急げぇっ!!急ぐのじゃぁぁっ!!!」


「ははぁっ!」「ははぁっ!」「ははぁっ!」!!!!


そこへ渡辺周防守様が現れた…


「婿殿、話は聞いたぞ!ならば、水も必要であろう?!水の調達は、わし等に任せろっ!!」


「おぉっ、これは周防守様!!かたじけのう存じまするっ!!」


「うむ!古間木の衆よ!!良し!御主と御主と…御主っ!わしと共に急ぎ城へ戻り、鬼怒川から向石下城迄、次々と水を運んで参るぞっ!!他の衆はここに残り、武蔵守の命に従うのじゃっ!!今こそ古間木侍の力の見せ所ぞっ!!!」


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」


(素晴らしい!何と統制の取れた軍団なんだ?!古間木侍!…良し、これなら負けぬっ!!)


やがて…各方面から沢山の桶と柄杓が集められてきた…


「皆様っ、有り難う存じます!それと皆さん聞いてくださいっ!!各隊より2名ずつ火消し役を選出して頂きたいっ!!2名ですっ!」


「何で戦に火消しが必要あんだべか?」


「んだ、本当に火なんか放つんだべか?」


各々が私を見ながら呟いていると…


そこに本当に火の点いた矢が飛んできたっ!


「き…来たぞぉっ!敵が来たぞぉぉっ!!」


「火だっ!本当に火の点いた矢が飛んできたぞぉっ!!」


そこへ、周防守様を先頭に、古間木勢が、鬼怒川から大量の水を次々に運んできた…


「待たせたなぁっ!さぁっ早く火を消すのじゃぁっ!!」


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」


(な…何と言う早さか?!周防守様!!)


各隊より選出の火消し役が10名…身軽そうな者、力自慢の者が各々集まった!


そこへまた、火の点いた矢が次々に放たれてきた!!


「よぉし、今日は火消しじゃぁっ!さぁっ、皆で火を消すぞぉっ!!」


私は叫んで火消し隊10名を鼓舞した…


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」


火消し隊の10名は、大いに奮い立った…


各々2名1組に分かれて、どんどん火を消して回っていった…


一人は竹製の盾で、矢を避けながら…


一人は次々に飛んでくる火の点いた矢を目掛けて、勢い良く水を掛けながら…


一方…敵将の白井全洞は、炎を次々消して回る我々を苦々しい思いで見ていた…


「おのれぇっ…永田重兵衛めぇっ…もっと火を放てぇっ!もっともっと火を放つのじゃぁっ!!」


物凄い勢いで、火の点いた矢が、次々と向石下城に放たれた…


「全軍進めぇっ!!」


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」………


白井全洞の掛け声で、多賀谷勢1000が一気に向石下城に向かって攻め混んで来た…


向石下城の屋根に登って、火を消していた私は、それを見て叫んだ…


「敵が来るぞぉぉぉぉぉぉっ!!!!」


すると武藏守様が叫んだ…


「よぉし、皆の衆、敵が参るぞっ!手筈通りじゃぁっ!!」


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」………


向石下・伊古立・吉沼連合軍500は、用意していた竹製の盾で、飛んでくる弓矢を避けながら最前線に立ち、多賀谷勢1000を勇ましく迎え撃った…


流石に二分の一の手勢では押されると思っていたが…どっこい、御味方達の勇ましさたるや、互角の戦いを展開していた…


火消し隊10名が(ことごと)く火を消して回ったので、敵も火の点いた矢を放つのをやめたらしい…


後を城内の方々に引継ぎ任せて、火消し隊10名もいよいよ、戦線へ突進していった…


私が黄金の甲冑を身に着け直し、千代王(チヨノオー)に跨がろうとしていていると、政重様と周防守様がやって来た…


「重兵衛、ようやった!火はもう大丈夫そうだな?」


「はぁっ!粗方消し止めました!」


「よぉし、重兵衛!此処は周防守殿にお任せ致し、共に攻め上がろうぞっ!!」


「はぁっ!」


「石毛の衆よ!出番じゃぁっ!!」


「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」「おおおおっ!!」………


「おっ、重兵衛様だ!」

「黄金の甲冑じゃ!」

「よぉし、今度も勝ったっぺ!」

「おぉっ、重兵衛様じゃ!もう負けねぇベ」…


御味方達からは気勢が上がった…


「あれが永田重兵衛か…?」

「強そうだっベ…」

「光ってっぺよ…」

「怖ぇなぁ…」

「おっかねぇっ…」…


敵兵達が怯むのを見て政重様が叫んだ...


「よし、重兵衛っ!此処はわし等に任せて、白井全洞を今日こそ討つのじゃぁっ!!」


「はぁっ!」


私は千代王と共に単騎、敵陣深く迄、斬り込んで行った…


やがて…どっかりと腰を下ろして、此方(こちら)を睨む敵将、白井全洞殿に辿り着いた…


私は千代王からゆっくり降りた…


「そちらに居わすは、白井全洞殿と、お見受けいたす…某、豊田家第20代、豊田治親様が家臣、永田重兵衛常充と申す!」


「待っておったぞ、永田重兵衛常充殿!御主…わしの為す事…全てお見通しの様じゃのう?」


「白井全洞様、あなたとは(いず)れ決着を着けねばなるまいと…思っておりました…」


「御主、わしに何か恨みでもあるのかのう?」


「某、あなたと、多賀谷家を…決して、許す事が出来ませぬ…」


「わし等は、御主に余程、酷いことをしたようじゃのう?」


「いいえ、某にでは御座らぬ…」


「では、何故…それ程までに…わしの命を執拗に狙うのじゃ?」


「あなただけでは御座らぬ…多賀谷家を滅ぼす迄は…某…この命有る限り…戦う所存に御座る…」


白井全洞は、ゆっくりと立ち上がった…


「相分かった…では…今日…決着を着けようではないか?」


「望むところ…」


私は背負ってきた白井殿の太刀を手に取った…


「そ…それは…」


「左様…あの日以来、大切に保管して参りました…」


私は白井全洞に太刀を返した…


「太刀は武士の魂…お困りであったでしょう?」


「か…(かたじけ)ない…」


(さや)は某の手製に御座る、元の鞘へ御納め下され…」


「…………。」


白井全洞は使い慣れた太刀を手に取って構えた…


「御主とは(いず)れ、この様な時が来ると…某も思って居ったが…」


私と全洞が構えて睨み合って居ると…


一人の侍が駆け込んできた…


「白井様、大変で御座います!」


全洞は構えたまま訊ねた…


「如何した?」


「豊田勢が此方へ向かっておりますっ!長峰勢と手子生勢も合流して…大挙して此方に向かって参る模様っ!!その数、およそ八百っ!!!」


「何じゃと?!……全軍退くのじゃ!全軍撤退じゃと伝えぇっ!!」


「ははぁっ!」


侍は出て行き全軍撤退の旨を叫んだ…


白井全洞は構えたまま呟いた…


「どうやら此度(こたび)も全て見透かされていたようじゃのう?」


「そろそろ攻めてくる頃かと読んでおりました…」


「完敗じゃ…じゃが、此度の戦とは別に、我等の決着を着けようではないか?永田殿?!」


「無論、某に異存は御座らぬ…」


「良し…」


その瞬間を私は逃さなかった…


私は思いきり踏み込んで、鋭く突きを喉元に打ち込んだ…


しかし、全洞は素早く逆エビ反りになって避けるや否や、半身のまま私の脛を祓ってきた…


私は高く飛んで、危うく避けた…


が、少し高く飛び過ぎた様だ…


全洞がキョロキョロしている処へ私は着地した…


少し焦った顔で私を見つめる全洞目掛けて私は低く踏み込んで胴を狙った…


全洞はヒラリと身を躱して、私の放った胴を避けた…


その時、政重様と掃部殿が陣に入ってきた…


「重兵衛!大事無いか?!」


「はぁっ!」


私は低く構えたまま答えた…


「どうやら、侍同士の一騎討ちの果たし合いとお見受け致したっ!白井全洞殿っ!我々は一切手出し致さぬ故、永田重兵衛と正々堂々、存分に斬り合い為されよっ!!」


(かたじけ)のう存ずるっ!!石毛殿!」


「では、参ります!」


私は鋭く打ち込んだ…


「おうっ!」


白井殿が私の太刀を祓った…その時…


熊のような大男が、丸太の様な太い棒を振り回しながら、陣を破壊して乱入してきた…


「ぐぅぉぉぉぉぉぉっ!全洞殿ぉぉぉぉっ!助けにに来たどぉぉぉぉっ!」


「熊蔵っ!手出し無用じゃ!!侍同士、一対一の果たし合いじゃっ!」


「あらっ?んだかぁ?!そしたっけ、おらは、一対二の果たし合いじゃぁぁぁぁっ!」


熊蔵と呼ばれた、その大男は長さ八尺はあろうかという、こん棒を振り回しながら政重様と掃部殿の方へ向かっていった…


「いかんっ!!」


私がそう言った瞬間…


「どうやら、とんだ邪魔者が入ってしまった様じゃな?!」


そう言って全洞は太刀を鞘に納めた…


私も頷いて太刀を鞘に納めた…


「熊蔵っ!退き上げるぞっ!!」


「うぅぉぉぉぉぉぉっ!全洞様ぁぁっ!!もう勝負は済んだんだべかぁっ?!」


「もう良いのじゃ…熊蔵っ!さぁ帰るぞっ!!」


「うぅぉぉぉぉぉっ!んだかぁっ?!(けえ)っぺよぉぉっ!全洞様ぁぁぁっ!」


熊蔵は長さ八尺、周囲が一尺はあろうか?鉄の鋲が沢山打ち込まれていて、鉄環の巻き金がグルグル巻いてあるこん棒を軽々と肩に回して、白井全洞と共に下妻方面へ帰っていった…。


「政重様…向こうには…とんでもない輩が居るものですなぁ…」


(まこと)…掃部よ…我等も…何れ戦う事になるであろう…のう、重兵衛?!」


「はい…噂ではもう一人、虎蔵という弟が居るらしいです…。」


「な…何とっ?!」


「こりゃぁ、何か策を講じておかねばのう?重兵衛!」


「はい…」


政重様と掃部殿と私は、戦に勝ったにも拘わらず、何か末恐ろしい思いで、呆然と、白井全洞と熊蔵の後ろ姿を見送っていた…。


向石下城に戻ると既に祝勝ムードに沸いていた!


早速、館武藏守宣重(たてむさしのかみのぶしげ)様が来て、政重様の前で片膝を着いた…


「政重様、此度は御助勢を賜り、誠に有り難う存じます!お陰で多賀谷の奴等を蹴散らすことが出来もうした!!誠に誠に有り難う存じまする!」


「なぁに、武藏守殿、石毛城と向石下城は兄弟みたいなものじゃ!兄弟が助け合うのは当たり前の事よ…それより皆、大事無いか?!」


「ははぁっ!御心遣い痛み入りまする!皆、大事無く、戦勝祝いに沸いておりまするっ!!」


「うむ!今日は皆、良う働いてくれた!存分にやってくれ!!」


「ははぁっ!!」


「掃部殿、伊古立の衆は強う御座るなぁ?百人が二百人…いや、三百人分の働きをしていただきました!」


「何の、武藏守殿、吉沼の衆のお陰に御座るよ!」


「おぉっ、重兵衛殿っ!御主のお陰で助かりましたぞっ!!まさか、多賀谷の奴等め、火を放ってくるとは…重兵衛殿、本当に良く教えてくれました!重ねて重ねて礼を申す!!」


「そ…そんな、お止め下され武藏守様…私の方こそ、もっと早く気付くべきでした…危ない目に遇わせて申し訳ございません…」


「何の!御主と周防守様のお陰で火を消し止められたのじゃ!礼を申すぞ!!」


そこへ、渡辺周防守勝重(わたなべすおうのかみかつしげ)様が来た…


「敵将は此度も、白井全洞殿じゃったのう?重兵衛殿!」


「いかにも…ただ…某…白井全洞と一騎討ちとなりましたが…」


「とんだ邪魔者が入ってのう?!」と政重様。


「とんだ邪魔者で御座るか?」


「左様、まるで…巨大な熊のような大男が、丸太のようなこん棒を振り回しながら…重兵衛と白井全洞が今度こそ決着を着けようと、一対一の果たし合いをしていた処に乱入してきよってな…わしと掃部に向かってきよったのじゃ…」


すると掃部殿が…


「それを見た白井全洞が、その熊蔵と呼ばれた大男を連れて、下妻に帰って行ってしもうたのです!」


「さ…左様で御座ったか…重兵衛殿、残念で御座ったなぁ…」


「はぁ…」


すると政重様が…


「重兵衛が申すには…その熊蔵と申す大男には…もう一人、同じ様に大男で…更に狂暴な兄弟が居るらしいのじゃ!」


「な…何と…大男に兄弟が…更に狂暴な…?」


「あの様な…化け物みたいな大男が…敵には…二人も居る...皆で策を講じねばならんのう?」


「はぁっ…。」


「まぁ、今日は今日じゃ!皆、良うやってくれた!!盛大にやってくれっ!!!」


「はぁっ!」「はぁっ!」「はぁっ!」「はぁっ!」


「重兵衛…御主は…ちと…わしと来てくれ…」


「はぁっ!」


吉沼の衆が心配そうに私の方を見ていた…


「なぁに、心配は御座らぬ!皆さんは良く働いてくれました!!御味方達とゆっくりしていって下さい!!!」


すると、政重様が早奴(ハヤヤッコ)に跨がって…


「左様!御主等は何も心配せずに、ゆっくりして居れっ!!わしと重兵衛は…ちと、石毛城に戻る!さぁ参るぞ!重兵衛っ!!」


「はぁっ!」


私は千代王(チヨノオー)に飛び乗って、政重様と共に石毛城へと向かった…


「此度も、良う働いてくれた!」


「申し訳ございません!火炎攻めの事を失念しておりました…」


「もう良い、御主が居らねば、奴等が攻めてくる事も知らずに、向石下城は…今頃…火の海じゃったろうな?重ねて礼を申す!」


「あ…いやぁ…しかし…」


「白井全洞じゃな?!あの御仁…卑怯者と思って居ったが…御主と一対一で渡り合うとは…中々のものじゃ…」


「身のこなしが実に柔らかく、のらりくらりと某の剣を躱したかと思えば…あの小柄な身体からは想像も出来ぬ程の力で打ち込んで参ります!」


「うむ…白井殿も中々じゃったが…あの熊蔵とか申す大男には肝を冷やしたな?!あの様な者が…未だ…もう一人居ると申すか?」


「はい…虎蔵と申す弟が…更に狂暴だと言うことです…」


「あれよりも…更に狂暴…とな…」


「はぁっ…」


「まぁ良い…そ奴等の事は追々考えるとしよう?それより、以前、重兵衛が申しておった事によれば…また、二年後…長峰原・蛇沼に多賀谷の奴等が攻めて参るのじゃったな?!」


「はぁっ!此度の向石下城といい、2年前の栗崎城といい…某が知る歴史の流れ通りに多賀谷の奴等が動いております…」


「うむ!また、二年後…奴等…長峰原・蛇沼に攻めて参ることじゃろう?!それまでには、あの化け物の様にでかい熊蔵・虎蔵兄弟を何とかしたい処じゃが…」


「それには及びませぬ!」


「何故じゃ?!重兵衛…」


「はぁっ!史実では…蛇沼の戦いにて、当方の作った落とし穴に落ちて、あの化け物兄弟は死ぬることになっております…」


「な…何と!落とし穴とな?!そうか!!そうであったか?!落とし穴を掘ったのか?!そうか!そうか!それは良い!!そうと分かれば…重兵衛!早速、蛇沼に掘るか?!落とし穴を!!」


「はぁっ!しかし…敵には勿論で御座いますが…御味方達にもこの事は、極力、伏せておかねば成りませぬ!!」


「何故じゃ?!」


「ここまで当方の連戦連勝となれば、あの白井殿の事です…必ずや間者を忍ばせて参る筈…落とし穴の場所が知れてしまうと意味が無くなりまする!」


「そ…そうか!そうじゃのぅ?!よしっ!この事は、わしと御主と道鎮の三人だけで進めて参る!」


「あ…いや、政重様の御手は煩わせませぬ!某と道鎮殿と小治郞殿で進めて参ります!!」


「うむ!小治郞かっ!!それは良い!甲州透破(こうしゅうすっぱ)の腕を見せてもらおう!!」


「はい、小治郞殿には重要な任務をどんどん任せることで、より殿との絆を深めることに繋がると存じまする!」


「絆を深めることが、寝返りを防ぐ事にも繋がるよのぅ?!」


「はい!」


「よしっ!この作戦は重兵衛、道鎮、小治郞、この三名に一任致す!!」


「ははぁっ!」


「何か困ったことがある時は遠慮無(えんりょの)うわしに申せよ!」


「ははぁっ!それと…先程…戦場(いくさば)にて…敵の伝令が…豊田勢と長峰勢と手子生勢が大挙して参ると…」


「あぁ、あれは…わしが敵に流した出任せじゃ…御主が来て…敵兵達は皆…戦意喪失じゃったからな…無益な殺生は好かぬ…」


「恐れ入りましたぁっ…。」


(流石っ!政重様っ!!)


私が千代王(チヨノオー)に跨がって石毛城の外に出ると、吉沼の衆が待っていた…


「皆さん?!どうしたのですか?!宴も(たけなわ)の筈ではありませんか?!」


「重兵衛様が、未だ、政重様と働いているのに、どうして、おら達だけ酒を飲んで居られましょうや?」


「あ…いや、皆さんは良く働いてくれましたっ!だから向石下城の皆さんと盛り上がって良いんですよ!!」


「いやぁ、おら達は重兵衛様と飲んで盛り上がりてぇんだ!!」


「んだ!重兵衛様のお陰で、この戦は勝ったようなものじゃ!!重兵衛様抜きで盛り上がるなんて無理だっぺよ?!」


「いやいや…皆様が居てくれるからこそ、この、重兵衛めも働くことが出来るのです…よし!分かりました!!吉沼に帰って、皆で盛り上がりましょう!!!」


「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」「おぉぉぉぉぉっ!」


城門の中でそれを見ていた石毛政重は、目を細めていた…


「重兵衛の奴…皆に好かれて居るのぅ…永田重兵衛常充…良き奴…四百七十年後の世から舞い降りてきた男…何か懐かしいような…弟のような…()い奴め…」

今回も重兵衛の活躍と、石毛政重の機転でピンチを脱した豊田勢でしたが…


今回の夢の妄想キャスティングは…


渡辺周防守勝重…北村一輝さん

     熊蔵…小錦八十吉さん

     虎蔵…武蔵丸さん


皆さんは、どんな人をイメージして、読まれたのでしょうか?


次回以降は、いよいよ、もっと激しい戦へと突入して参ります…


次回も「つぐみ龍の伝説」に、どうぞ御期待下さい!

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