94.感想
烏滸がましい考えだったんです。
仙界の燧乎の岩にて。
仙界の書物庫で、凍夜から帰るように言われて、燧乎と共に素直に燧乎の岩に行った栞太は、晴れ晴れとした顔で言った。
「俺みたいな仙界の字も読めない、大仙人様に力を注いでもらっている宝貝、仙羽衣で身を守ってもらっている赤子同然の生物が、仙人、しかも五本の指に入るほどの実力者である凍夜殿を癒すだなんて、烏滸がましい考えだったんです」
「言葉の割には、随分と晴れやかな顔をしているな」
「帰りなさいって。凍夜殿に、幼子に優しく言うように言われて、自分の未熟さを、あの方を癒す事はできないと、痛感しました。その通りだなあって。はい。自分でも不思議、ではないんですけど。落ち込まなかったです。その通りだから。ただ、だからと言って、諦めようとも思わなかったんです」
「大仙人様に課せられた任務だからか?」
「はい!!!」
キラキラきらきら。
目から、全身から、纏わす宝貝、仙羽衣から、漂う空気から、やる気に満ち満ち、青々しさ、瑞々しさが相まった輝きを放出する栞太に、燧乎は、うわあっと思った。
いいねえいいねえやる気に満ち満ちていいねえ。
という感想と。
大仙人の宝貝、導香の影響なのか、大仙人の超自然的で、超人間的で、超生物的な魅力が半端ない。
という感想と。
こんなに大仙人の虜になっているのに、凍夜を癒す事ができるのだろうか。
という感想と。
栞太を早く、いざとなったら強制的に異世界に戻さないと、栞太は仙界から、大仙人から離れられなくなるのではないか。
という感想。
が、入り混じった燧乎は、とりあえず、やる気があってよしと、栞太を大いに褒めちぎるのであった。
(2024.4.11)




