93.へべれけ
その日はへべれけに酔っていた。
『ね~え~。い~て~や~ちゃ~ん』
『お酒臭い。暑苦しい。抱き着かないで』
『うふふふふふふ。い~て~や~ちゃ~ん~』
『ああもう。早く寝なよ。布団はもう用意してあるし』
『い~て~や~ちゃ~ん。だあ~いすきぃ~』
『はいはい』
『わらわおもいのやさし~い、いてやちゃんには、こ~れ~を、あげよう』
『何これ?』
『ははははははは。こ~れ~は~ね。よろずのようとう!』
『声煩いし。お酒の臭いがどんどん濃くなってるし。もう早く寝なよ』
『ん~ん~!せつめい!きいて!じゃないと!ね~な~い~も~ん~』
『はいはい。何ですか?よろずのようとうって?』
『んふふふふふふふ。なんだと、おもいますかあ~?』
『………最強の存在を最弱にする最強の刀』
『ぶぶっぶぶ~~~~~。ちがあ~いま~す』
『………じゃあ何ですか?』
『こうさんですか~~~?』
『降参です。教えてください』
『ぬふふふふふふ。しょうがないの~~~。おしえてしんぜようっ!』
『教えてください』
『よろずのようとうはのう。呪いを!』
(呪いを。呪いを………確か、解く、だったよう、な)
なにせ、何百年も前の昔のやり取りである。
不明瞭、虫食い状態、すっぽり抜けは多々ある。
(それに、もらったあと、僕、どうしたっけ?)
人間界の竹林にて。
てくてくてく。
凍夜は淡雪筍を探し歩きながら、思い出そうとしていた。
(2024.4.11)




