88.当番
仙界の書物庫にて。
ほとんどが道士が担っている当番制の書物庫の管理係は、今日は八雲が当番だったらしい。
凍夜が万葉桃を含む呪いを完全に解く方法が記された書物を全部持って来てと頼むと、八雲は敬礼を取ってのち、駆け走ってはいけない暴れてはいけない大声を出してはいけないと設けられた書物庫の規則に則って、ゆっくりゆっくりと静かに歩きながら、書物探しを開始した。
(えーと、呪い関係は、と)
高跳びしても届かないほどに高く、一時間全力疾走しなければ回れないほどにとても壮大で膨大な書物庫である。
地図が用意されており、管理係はその地図を見ながら、利用者の求めに応じて(管理係に頼まず自分で探す者も居るが)、書物を探すのである。
書物庫専用の宝貝があれば、こんなに時間をかけなくても、素早く探せるので開発してほしい。
ちらほらと要望の声は出てくるものの、何でもかんでも宝貝に頼るなど不甲斐なしとの声や、弩九の開発意欲が湧かないとの声から、未だに叶ってはいない。
(まあでも、俺は宝貝がなくてもいいけど。宝物を探しているみたいで、わくわくするし。時間はかかるけど。俺たち、時間だけはいっぱいあるし………あ。でも、今回は時間をかけちゃだめか。栞太の呪いを解く為だろうし。凍夜、頑張ってるなー)
よし。
八雲は気合を入れて、けれど、ゆっくり静かに手早く、書物探しを続けるのであった。
(2024.4.9)




