78.大本
(いや、精進しないし)
姿を消してしまった九尾の妖狐に心中で言い返してのち、凍夜は燧乎に泣き止むように言われている栞太と、宝貝、万花衣で、姜芳によって二日酔いの治療に当たってもらっている大仙人を見た。
(………大仙人様は自分の相棒を釣り出したんじゃないのかな?)
大仙人をあれほどまでに心配してくれる生物が居るだろうか、いいやきっと、居ないだろう。
では、間違いだったとしたら。
大仙人の相棒だったら、己はもう異世界に帰らせようと奔走しないのか。
否。
(………呪いの大本を断たないと。断って、異世界に帰さないと)
では、九尾の妖狐に詰め寄って、呪いを解いてもらうか。
否。無理だ無理絶対に無理あの九尾の妖狐が絶対に呪いを解くわけがない。
(そもそもの話として。九尾の妖狐が呪いを完全に解けるかも疑問だし。呪いだけかけて後は知らんぺーって可能性の方が大だし。呪いを完全に解けるのって尋ねたところで素直に答えるわけがないし………なんか、どっと疲れが押し寄せてきたな)
「疲れたな、凍夜。ご苦労様」
「………くぅん」
宝貝、皓皓月拳を使用して、本来の姿の小人から身体を大きくしていた燧乎は金色のポメラニアンになってしまった凍夜を胸に寄せて片腕で抱えて、少しは落ち着いたものの未だ泣き止んではいない栞太を俵抱きし、宝貝、亀雲に乗って仙界に戻ろうとしたのだが、涙声の栞太に呼び止められては、動きを止めたのであった。
(2024.4.7)




