76.確定では
「っていうか」
すん。
凍夜は意識して強く嗅いでみた。
空気に交じって漂ってくる、酒の匂いを。
種類までわかる。
大仙人の大好物である、桃酒だ。
「「「………」」」
桃酒の匂いは、青白い顔をして、ぐったりと草地に座り込んでいる大仙人から、漂ってきている。
「「「………」」」
紅鶴は言っていた。
大仙人は、異世界の大仙人の集いに行くとか何とか仰って、そそくさと旅立って行った。と。
「「「………」」」
大仙人はその集いでしこたま飲んで酔っ払って、人間界のラフレシアの中に入り込んだ。
ラフレシアは大仙人が入り込んだので、異変が生じた。
栞太は、もしくは、大仙人の仙力で動いている宝貝、仙羽衣は、酔っぱらって弱まっている大仙人を察知、助け出そうとして栞太ごと、ラフレシアの中に入り込んだ。
「修行中に栞太、言っていたな。大仙人をすっごく崇拝しているってな。大仙人に認めてもらう為に、すっごく頑張るってな」
「つまり、栞太少年は、大仙人がラフレシアの中に居ると、第六感か、宝貝、仙羽衣の中に流れる大仙人の仙力の変化から悟って、ラフレシアの中に自ら飛び込んで、大仙人を見つけ出した。そして、今号泣している理由は、大仙人を見つけ出せてすごくよかったという安堵ゆえでしょうか?」
「………うん。そんな感じじゃないかな」
「「「………」」」
しゅーらーばっ。
しゅーらーばっ。
凍夜、燧乎、姜芳が、大仙人と栞太を黙視する中、浮遊して背後から凍夜に抱き着いている九尾の妖狐は、明るく囃し立て続けていたのであった。
(2024.4.7)




