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71.恐怖
(ああ、やはり)
ゾクゾクゾク。
背筋に冷たいものが走った凛矢は歓喜した。
凍夜に対して、恐怖を感じられる。
己が負けるかもしれないという恐怖だ。
これに勝る喜びはないだろう。
(ああ、面倒だなあ。あの子の居場所は終わってから。は。訊けないかも。気絶させるだろうし。僕はポメラニアンになっているだろうし)
完全に臨戦態勢に入った凛矢を目の当たりにした凍夜はしかし、仕方がないと思いながらも、やる気のない雰囲気を変えず脱力したまま、凛矢の挑戦を受けようとした時だった。
泣き声が聞こえたのだ。
栞太の泣き声が。
ポメラニアンの鳴き声ではなく、確かに人間の泣き声だった。
人間に戻れたのだと安堵しながらも、泣いている理由が気になった凍夜は、凛矢の名を呼んだ。
気の抜けた調子で名を呼んでは、ごめんねと謝った。
(2024.4.4)




