表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/165

69.ちりぢり




「大仙人様!大仙人様!」


 姜芳きょうほう宝貝パオペイ万花衣ばんかいを使用する数時間前。

 人間界の森林の、ラフレシアの中にて。

 ポメラニアン化したままの栞太かんたは淡い紅色一色に染まる、だだっ広く果てない浮遊空間の中で、大仙人を探していた。

 闇競売の会場で、いばらの背中の上で眠っていた事までしか覚えていなかった栞太かんたは、それがどうして、こんな淡い紅入り一色に染まる浮遊空間へと移動して、大仙人の名を喉を傷めるほどに呼んで探しているのか。

 状況は把握できていなかったが、その事に思考を巡らせる余裕はなかったのだ。

 この空間のどこかに大仙人が居る事。

 大仙人を探さなければいけない事。

 この二つの事しか頭を占めていなかったのだ。


「大仙人様!」


 不安と恐怖が栞太かんたの中で、強く深く渦巻いていた。

 身体が感情に翻弄されて、思考がまとまらない。

 散り散りになりそうだった。

 身体も思考も魂も。

 大仙人が居る。大仙人を探す。

 この二つの事が頭になければ、栞太かんたを形成するすべてが散り散りになって、いずれ消滅するのは必定であった。


「大仙人様!」


 迷子になったようだ。

 親と離れて不安と恐怖でいっぱいで泣きじゃくる迷子。

 現実として栞太かんたは泣いてはいなかったが、顔はくしゃくしゃになっていた。


「大仙人様!大仙人様!どこですか!?ご無事なんですか!?」


 もしも大仙人に何か遭ったら。

 もしもこのまま大仙人を見つけられなかったら。

 ここまでどうして大仙人に執着しているのか。求めているのか。

 栞太かんたはわからなかった。


「大仙人様!」


 栞太かんたは叫び続けながら、浮遊する身体を必死に動かしながら、大仙人を探し回り続けた。

 何時間もずっと。











(2024.4.4)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ