67.断言
栞太救出が第一。
ラフレシアの保護を前提として。だ。
あのラフレシアがどれほどの期間、開花しているのかはわからないが、開花できる期間は数日と限られている。
その後に待っているのは、腐れ落ち行く身体、そして、死だ。
ならば、その時までは。
自然に死を迎えるまでは、生きていてほしい。
咲き誇っていてほしい。
「凛矢。あなたは動かないでください。ラフレシアを殺してしまうので」
「それは断定か?」
「ええ、そうです。断定です。あなたは花の命はどうでもいいと考えているでしょう」
「どうでもいい。とは、考えてないね。どの命もいつ、力を開花するかわからないからな。殺しはしない。どの命も、だ。ただし、殺す寸前までは、痛めつける」
「痛めつけた結果、死ぬ、とは考えないのですか?」
「そんなへまはしないね」
「ラフレシアも痛めつけるつもりですか?」
「ほかに、あの栞太という少年を助ける方法が思いついたか?うぬもわかっているだろう。あのラフレシアは臨戦態勢を取っている。闘って弱らせて、こじ開けて助け出すしかないってな」
「いえ。私の宝貝、万花衣を使って、ラフレシアを眠らせて、栞太少年を救い出します」
「うぬを気絶させ、俺の宝貝、雪だるまを溶かしたあの異臭に勝る芳香を放てるのか?」
「できます」
姜芳は断言した。
本音を言えば、今はまだ解決方法を、あの異臭を上回るほど芳香を放てる花、あの異臭を消去できる花、ラフレシアを眠らせる花、どのように組み合わせればいいのか、まだ見つけ出せていない。が。
「できますので、あなたは一切手を出さないでください」
姜芳は凛矢に向かって、再度断言したのであった。
(2024.4.3)




