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63.冷ややか




(いけませんね)


 姜芳きょうほうは黒丸眼鏡の山に中指を当てて黒丸眼鏡を少し持ち上げた。

 刹那、凛矢りんやの言動に怒髪天を衝いた姜芳きょうほうはしかし、即刻冷静さを取り戻した。

 目を爛々と輝かせた凛矢りんやを目の当たりにしたからだ。

 怒りを露わにした姜芳きょうほうを見て、闘えると思ったのだろう。

 ワクワクドキドキ。

 そんな擬態語が寄せては返す波、ではなく、寄せては寄せまくる波のように、前面に押し出されている。


(いけませんね)


 怒りに任せて、闘い大好きな凛矢りんやに乗せられて、闘うような事はしてはいけない。

 ふう。

 姜芳きょうほうは冷ややかな溜息を吐いてのち、凛矢りんやに冷ややかな眼差しを向けた。

 今すべきは、説教及び厳しい処分が下る可能性が高いとの申告ではなく。


「それで、栞太かんた少年は今、どこに居るのですか?」


 即刻、栞太かんたを救出する事である。


「ラフレシアの中」

「………は?」

「誠に意味不明だが、あの栞太かんたという少年が自らラフレシアの中に入って行ったんだよ」

「………は?」











(2024.4.2)




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