62/165
63.冷ややか
(いけませんね)
姜芳は黒丸眼鏡の山に中指を当てて黒丸眼鏡を少し持ち上げた。
刹那、凛矢の言動に怒髪天を衝いた姜芳はしかし、即刻冷静さを取り戻した。
目を爛々と輝かせた凛矢を目の当たりにしたからだ。
怒りを露わにした姜芳を見て、闘えると思ったのだろう。
ワクワクドキドキ。
そんな擬態語が寄せては返す波、ではなく、寄せては寄せまくる波のように、前面に押し出されている。
(いけませんね)
怒りに任せて、闘い大好きな凛矢に乗せられて、闘うような事はしてはいけない。
ふう。
姜芳は冷ややかな溜息を吐いてのち、凛矢に冷ややかな眼差しを向けた。
今すべきは、説教及び厳しい処分が下る可能性が高いとの申告ではなく。
「それで、栞太少年は今、どこに居るのですか?」
即刻、栞太を救出する事である。
「ラフレシアの中」
「………は?」
「誠に意味不明だが、あの栞太という少年が自らラフレシアの中に入って行ったんだよ」
「………は?」
(2024.4.2)




