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62.森林




「おい。おい。姜芳きょうほう

「う、う」


 人間界の森林にて。

 凛矢りんやが草地にうつ伏せで倒れていた姜芳きょうほうの頬を軽く叩くと、意識を取り戻したようだ。姜芳きょうほうは眉毛と瞼を微動させると、やおら目を開いた。


凛矢りんや、です、か?」

「ああ」


 姜芳きょうほうは両手を草地に押し付けて上半身を起こしてのち一時停止、やおら立ち上がると、凛矢りんやへ向かい合って深々と頭を下げた。


「ありがとうございます。ラフレシアの異臭が届かない場所まで移動させてくれて」


 姜芳きょうほうは花の鑑賞にこの森林に足を踏み入れ、少し歩いてのち発見したのだ。

 まさかのまさか。

 「幻の花」と言われている、開花しているラフレシアを。

 長年生きてきているが、初対面である。

 異臭を放つとの知識は無論あったが、大丈夫だと高を括っていた姜芳きょうほうは嬉々として開花しているラフレシアに近づく、と。

 ラフレシアが放つ異臭によって意識を切り取られ、草地に伏せってしまったのだ。

 そして時が経ってのち。

 その倒れていた姜芳きょうほう凛矢りんやが発見。

 ラフレシアが放つ異臭が届かない場所まで移動させた、というわけである。


「あなたはラフレシアが放つ異臭を嗅いでも大丈夫だったのですか?」

「ラフレシアを発見した時に、鼻を氷で遮断したからな」

「つまり、私よりも先にラフレシアを発見したというわけですか?」

「ああ」

凛矢いてや。あなたが人間界に居るのは武者修行の為でしょうが、まさか、ラフレシアと闘おうと思っているのではないですよね?」

「いや、凍夜いてやと闘う為に栞太かんたという少年を攫って人質にしようとしたのだがな。しくじった」

「は?」


 姜芳きょうほうは額に血管を浮き立たせた。











(2024.4.2)




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