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60.凛矢
無気力、と言っても過言ではないだろう。
眠気眼と死んだ魚の目の中間に位置する目と同様に、常にやる気のない言動と態度を取っている。
が。
わかる者には、わかるものだ。
凍夜の強さは。
隠しているつもりなのか、本当に己の強さを知らないのかは判別がつかない。
闘いたい。
そう何度も何度も申し出ても、面倒だと、のらりくらりと躱される始末。
どうしたら、闘ってもらえるのか。
考え始めてから何十年が過ぎ去っただろうか。
見つけたのは、仙人としてあるまじき手段。
だが、こんな卑怯な手を取ってでも、闘ってみたかったのだ。
凍夜が執着する少年を人質に取ってでも、闘ってみたかったのだ。
が。
「しくじった」
足代わりの丈の長い向日葵色の功夫靴、手腕代わりの銀の長箸の先にはめた紅色の革手袋、青い金属のバケツを頭に乗せた雪だるま姿の凛矢は、太い長方形の黒眉毛を寄せたのであった。
ラフレシアに守られている栞太を見つめながら。
(2024.4.1)




