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57.姜芳
宝貝、万花衣。
姜芳が身に着けている黒丸眼鏡。
外して空に放り投げると、細く短い漆黒の杖へと変化。
漆黒の杖を華麗に振り回すと、使用者が思い描く花が出現。
治癒、攻撃、封印、幻惑と、多様な作用効果をもたらす。
姜芳は、花が好きである。
好きであるが、育てはしない。
宝貝、万花衣を使用するに当たり、花の勉強及び研究に余念はないが、育てはしない。
観賞が好きなのだ。
悪戯な天候に負けず自然界で咲き誇る花や、霊獣、人間、妖怪、他の生物によって、大切に慈しんで育てられてのち咲き誇る花も、花であるならばどんな花でも、とっても好きだった。
ゆえに時折、修行と称して人間界に下りては、あちらこちらと羽のように軽くなった身体を移動させて、多種多様な花を観賞していたのである。
今日もまた。
修行大好きで後進育成に勤しむ、気心の知れた仲間の燧乎に行ってきますと言っては、人間界に下りたのであった。
一週間で帰りますと言葉を紡いで。
だが、姜芳は一週間経っても、仙界に帰ってはこなかったのである。
(2024.4.1)




