54.心配
仙界の弩九の岩にて。
宝貝、夕灯を使って、荊は人間界の生まれ育った場所からここまで瞬間移動した。
背中に乗せていた調子が悪いらしい栞太を診てもらう為に、己の岩ではなく、弩九の岩に着陸したのである。
「あれ?みんな、どうしたの?」
荊は首を傾げた。
凍夜、震霆、燧乎、灼蛍が荊を囲むように立っていたのだ。
もしかしてみんなぼくと一緒に遊びたくて待っていたのかな。
來凱といっぱい遊んだけれど、遊びに終わりはないのだ。
わあい、一緒に遊ぼう。
嬉々として言おうとした荊であったが、その前に栞太の具合が悪いみたいなので弩九に診せる為に、弩九がどこに居るのかみんなに尋ねようとしたら、凍夜が荊の背中に乗っている栞太を持ち上げたかと思えば、弩九のところに連れて行くねと言って、震霆と一緒に立ち去ってしまったのだ。
「???」
「荊」
「なーに?灼蛍?」
「うむ。少し俺と話そうか。來凱について」
「うん!」
灼蛍が何故、來凱を知っているのか。
疑問に思うよりも、先程まで一緒に遊んでくれた來凱の話がしたかった荊は、嬉々として灼蛍の後について行こうとしたのだが、ついと足を止めて、立ち止まってくれた灼蛍を見上げて話しかけた。
「灼蛍。あのね。凍夜が弩九のところに栞太を連れて行くって言ってたけど、栞太が具合が悪いみたいだって知ってるのかな?もし知らなかったら、知らせないといけないんだけど」
「うむ。栞太の事についても、これから色々と話すが、とりあえず、凍夜は栞太を心配して、弩九の元へ連れて行ったので、安心しろ」
「うん!」
(2024.3.30)




