51.またね
人間界の荊が生まれ育った小さな家の周囲に広がる草原にて。
「けひっ。そのポメラニアン。よっぽどあんたの背中が心地いいんだな」
來凱は草原に寝転んだまま、同じく草原で寝そべっている荊の背中の上で寝そべっている、ポメラニアン化している栞太へと視線を留めた。
「うん。もしかしたら、疲れているのかも。眠ったら元気になると思ったけど、元気にならないから、もう仙界に帰ろうと思ってるんだ」
「けひっ。そうか。こいつは、霊獣だか仙人だか何だかわからないが、宝貝は使っているって言ってたな」
「うん」
「宝貝を使っているからじゃねえのか?なんかよくわかんねえけど、疲れるんだろ。宝貝を使っちまうと」
「うん。ぼくは少ししか疲れないけど、いっぱい宝貝を使って、いっぱい修行したからだし。もし、栞太が宝貝が使い始めだったら、すんごく疲れると思う。けど。栞太の力で宝貝が動いていないみたいなんだよ。違うかもしれないけど」
「ふ~ん。まあ、俺っちにはさっぱりわかんねえけど。疲れてんなら、さっさと帰りな」
「うん。來凱。遊んでくれてありがとう!來凱の友達にもありがとうって伝えておいて!」
「けひっ。ああ」
荊は立ち上がると、來凱にまた遊んでねと言って、宝貝、夕灯を使って、この場から仙界へと瞬間移動したのであった。
「けひっ。本当に莫迦なやつだな。俺っちはあんたを金に変えようとしたってのに」
來凱は草原に寝転んだまま、そっと目を瞑った。
「けひっ。本当に、莫迦なやつだよ。あんたも。俺っちも」
(2024.3.28)




