46.灼蛍
仙界にて。
人間界で栞太と荊を捕らえた闇競売が行われている場所に、灼蛍が突撃する少し前。
人間界に下りると言う凍夜と、それは駄目だと反対する震霆のやり取りに、あっしが独りで行くと燧乎が言うも、僕も下りるからいいと言って震霆の反対を聴かない凍夜の、三人のやり取りが続く。
仲裁役に回ればいいものを、弩九は三人のやり取りにそっぽを向け宝貝の開発に集中して全く口を挟まないので、結局、三人のやり取りが続き、なかなか結論が出ない中。
一人の仙人が勢いよく現れた。
灼蛍である。
紅鶴からこの三人のやり取りを聞いた灼蛍が、荊と栞太が捕まっている闇競売組織を追っていたので、俺一人で行くと宣言したのだ。
「凍夜は人間界に行かない方がいいと、俺も思う。なので、震霆の意見に賛成だ。燧乎も、今は宝貝、皓皓月拳を使って身体を大きくしているが、消耗が激しいだろう。ああ。言わずともわかっている。貴様の本来の小人の姿でも楽々と、荊と栞太少年の救出及び、闇競売組織を壊滅できる。ただ今回は俺に任せてもらいたい。今回闇競売組織の壊滅の依頼を人間界と妖怪界から受けているので!」
「………相変わらず、暑苦しいやつだな」
灼蛍の熱弁に、凍夜と震霆とのやり取りを中断させていた燧乎はそう呟くも、少しの間考えて、じゃあ、任せたと言った。
「仙人と限られた霊獣は、人間界及び妖怪界に自由に行き来できると言っても、やはりそれ相応の理由がなければ、行かない方がいい。だろう、凍夜?誰も助けに行かないってんなら、あっしたちが行く必要があるが、今回は灼蛍が居る。人間界に下りる理由がある灼蛍に今回は任せよう」
「私も賛成です」
「話が付いたなら、さっさと出て行ってくれ。研究の邪魔だ」
「俺に任せろ!」
「………わかったよ。灼蛍に任せる」
燧乎、震霆、弩九、灼蛍の視線が己に集中した凍夜は、渋々了承した。
(まあ、あっしは栞太の師匠として、弟子の救出に行っても問題ないと思うのだが)
そもそも人間である栞太の救出という立派な理由があるので、全員で人間界に下りてもいいのだが。
(まあ、震霆の心配もわかるし)
凍夜が人間界に行くのを我慢しているのに、己だけが行くのはなんだか悪い気がしたので、今回、燧乎は灼蛍に任せる事にしたのであった。
(2024.3.27)




