36.仕掛け
「もしかしたら、栞太に呪いをかけられて、ポメラニアンの姿になったから、宝貝、仙羽衣が力を発揮できていないのかも」
仙桃宮にて。
荊が九尾の妖狐の呪いによってポメラニアンになってしまった栞太を連れ去ってから、入れ替わるように大食堂に入って来た震霆に癒されて、ポメラニアンから仙人へと戻った凍夜が言った。
「もしくは、九尾の妖狐が仙羽衣に何か仕掛けたか?」
「ううむ。兎にも角にも、栞太を連れ戻して、弩九に見せん事には何とも言えぬな」
「その栞太少年を見つける為にも、弩九の元へと行かなければなりませんね」
「うん。そうだね」
震霆に同意した凍夜が椅子から立ち上がり、先に進む震霆の横に並んで、大食堂から出た。
燧乎は二人の後に続きつつ、腕を組んだ状態のまま言った。
解せない、と。
「いくらこの頃誰も遊び相手になってくれないからと言って、初対面の栞太を連れ去るだろうか?宝貝、夕灯を使って、瞬間移動してまで、だ」
「うん。確かに疑問は生じるけど。でもまあそれだけ遊んでくれる相手に飢えていたのかもしれないし。本能的に嗅ぎ取ったのかもよ。あの子は一緒に遊んでくれるって」
「うむ。まあ。そうかもしれん。が」
燧乎は前を歩く凍夜から、凍夜の横に並んで歩みを続ける震霆に視線を留めた。
(………震霆が、荊に栞太が二人きりで一緒に遊びたがっているとか何とか吹き込んで、栞太を連れ去るようにしたのではないか?)
栞太を凍夜から引き離す為に。
(2024.3.23)




