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25.魅了
「まったく。燧乎も姜芳も、修行大好き仙人なんだから」
深夜。
燧乎の岩にて。
小人になった凍夜は、ぐっすり眠っている栞太から離れて空でふよふよと浮いている宝貝、仙羽衣をちょんと指先で触れてのち、栞太を見つめた。
「まったく。君も大仙人様に魅了されちゃったか。ごめんね。大仙人様が迷惑をかけて。もう大丈夫だからね。今度こそ、君の世界に帰して、仙界に来られないようにするから」
凍夜は栞太の胸の上に片手をかざして、意識を集中させた。
異世界へと通じる道を作り出す事ができるのも、異世界へと生物を送り出す事ができるのも、今のところ、大仙人と凍夜と、そして。
「無駄な事をするのう。凍夜。妾がまたこちらに連れ戻すとわかっているであろうに」
九尾の妖狐、のみであった。
くすくすくす。
鈴の音を転がすように笑う九尾の妖狐の突然の出現に、けれど凍夜は驚く事なく、やっぱり君の仕業かと言いながら、眠気眼と死んだ魚の目の中間の、いつもの目を九尾の妖狐に向けたのであった。
(2024.3.17)




