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第4話:月光の魔球と、怪物たちの密談

都内某所にある、DWA(夢の世界連合)が秘密裏に借り切った最新鋭のトレーニング施設。

ミーティングルームの大型モニターには、予備合宿で汗を流す「荒武者ジャパン」の映像が映し出されていた。

「……ふむ。データ通り、非常に引き締まった良いチームだ」

腕を組みながら画面を凝視するのは、DWAを率いる指揮官、トロイ・フルマン監督だ。その脇には、MLBのレジェンドとして名を馳せた投手コーチのペドラ・マルティノス、ブルペンコーチのマルアノ・リベロ、そしてバッテリーコーチのマイク・プアッツァらが静かに控えている。

「フルマン監督、日本の投手陣……特にあの『銭形豹馬』というサイドスローはどう見ますか?」

マルティノスがモニターに映る豹馬のフォームを指差した。

「150km/h台の真っ直ぐに、あの手元で急激に変化する『ジャガーボール』と『銭形ツーシーム』……。我がチームの強力打線と言えど、初見で攻略するのは容易ではないな」

「フン、だが我々にはアール・ジャージをはじめとするメジャー屈指の長距離砲が揃っている。パワーとスピードでねじ伏せれば問題ないはずだ」

強気の姿勢を見せるプアッツァに対し、フルマン監督は慎重に頷く。

「言葉の壁や不慣れな守備位置という我々の弱点を、相手の緻密な野球で突いてくるのは確実だ。油断は一切禁物だよ」

◇

同じ施設の地下ブルペン。

張り詰めた空気の中、ピシィッ!と甲高い捕球音が地下空間に激しく響き渡っていた。

「素晴らしいキレだぞ、ダイアナ!」

「ふふ、当たり前よ、アポロ。私の『ムーンライトボール』は、誰にも打たせやしないわ」

アンダースローの低く美しいフォームから放たれたボールは、一度ふわりと浮き上がったかと思うと、ベース手前で不気味に沈み込み、兄アポロ・ムーンストーンの構えるミットへ吸い込まれた。

汗を拭いながら、26歳の二卵性双生児である二人は息を整える。

ブロンドのロングヘアを揺らす妹のダイアナは、鋭いブルーアイをどこか遠くへと向けた。

「荒武者ジャパン……。特にあの『猿飛英恵』という女。男顔負けの神速のショート守備を見せているそうじゃない」

「ああ、あの『くノ一』と呼ばれる少女だな。同じ女性プロ選手として、日本のメディアでもかなり注目されているようだ」

アポロがプロテクターを外しながら力強く頷く。マイナーリーグで不遇の時代を長く耐え抜いてきた26歳のアポロにとって、このドリームチャンピオンシリーズは世界の頂点へ己の力を証明する最高の舞台だ。

「フン、話題性だけなら負けないわ。私たちが誇る『双子バッテリー』の絆と、私のムーンライトボールで、彼女たちの鼻をあかしてやるわ!」

勝ち気に微笑むダイアナに、アポロもまた不敵な笑みを返した。

「ああ。それに投手としてだけではなく打者としても打席に立つあの銭形豹馬、そして達摩兄弟や伊達鷲一郎……。骨のあるライバルばかりだ。控え捕手だろうがDHだろうが、俺のパワーで全員叩き潰してやるさ!」

世界の怪物たちが集うDWAの陣営でも、日本への対抗心とプライドが静かに、そして激しく燃え上がっていた。

『ドリームチャンピオンシリーズ』開幕の足音は、着実に近づいている――。

(第5話へ続く)

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