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第3話:集結! 荒武者ジャパンの熱気渦巻く予備合宿

春の訪れを少しだけ感じさせる暖かな日差しの中、国内の特設キャンプ地には、日本野球の最高峰が集結していた。

『ドリームチャンピオンシリーズ』での世界一を目指し、招集された「荒武者ジャパン」の面々による予備合宿が、いよいよ幕を開けたのである。

「おいおい、聞いてた通り、とんでもねえ面子が揃いも揃ったもんだぜ!」

ブルペンのマウンド付近で、銭形豹馬は角刈りの頭を掻きながら、周囲の選手たちを見回してニヤリと笑った。

周囲を見渡せば、メジャーの第一線で戦うスーパースターから、各球団を代表する猛者たちが所狭しとウォーミングアップを行っている。

「豹馬、いつまでもキョロキョロしないの! もうすぐ監督のミーティングが始まるわよ」

シャープなユニフォーム姿で声をかけたのは、今大会で正ショートのポジションを任される猿飛英恵だ。ボーイッシュな髪を揺らしながら、キュッと引き締まった表情でグラウンドに立っている。

「わかってるって、おはな。……にしてもよ、あのバケモノ集団(DWA)をぶっ潰すには、俺たちのこのチームワークが一番の武器になるってわけだ」

豹馬が気合十分に腕をまくっていると、グラウンド中央に、監督の井草匡仁とヘッド兼打撃コーチの川口壮が姿を現した。

井草監督は穏やかな笑みを浮かべつつも、その瞳には鋭い闘志が宿っている。

「みんな、よく集まってくれた。我々『荒武者ジャパン』は、主将を置かない。お互いが足りないところを補い合い、全員が主役としてカバーし合う――それが我々のスタイルだ」

井草監督の静かでありながら重みのある言葉に、選手たちの空気が一瞬で引き締まる。

直後、練習がスタートすると、キャンプ地は一気に猛烈な熱気へと包まれた。

「いくぞ――! 俺の『ジャガーボール』、しっかり目に焼き付けな!」

豹馬がマウンドから唸りを上げて腕を振る。

サイドスローから放たれた150km/hの快速球は、ミットの寸前で鋭く横滑りし、捕手の若武健矢のミットへ凄まじい音を立てて収まった。

「うおっ……相変わらずえげつない曲がり方しやがるな、あのサイドスローは!」

後ろで見ていた選手たちから驚嘆の声が漏れる。

一方、内野のノック場では、英恵が驚異的な身のこなしを見せていた。

鋭く三遊間へ飛んだ強烈な打球に対し、家系に伝わる忍びの歩法を応用したステップで一瞬にして追いつき、バックハンドですくい上げるや否や、一塁へ矢のような送球を叩き込む。

「ナイスプレー、はなちゃん!」

「サンキュウ、真木さん!」

セカンドを守る真木秀悟の声掛けに、英恵は爽やかな笑みで応える。その姿はまさに、内野の要たる「くノ一ショート」の風格そのものだった。

さらに、打撃練習場からはけたたましい金属音――いや、それをも凌駕する圧倒的な快音が轟いていた。

「……すげえな、やっぱり」

豹馬が思わず足を止めたその先では、ロサンゼルス・ブルーソックスの「二刀流」大滝翔平が、悠々としたスイングで次々とボールをバックスクリーンへと放り込んでいた。

その隣では、巨漢の達摩兄弟――兄の厳が確実性の高いアーチを描き、弟の豪が豪快な一撃で柵越えを連発している。さらに、孤高の天才・伊達鷲一郎が、無駄のない美しいスイングで広角に鋭いライナーを打ち分けていた。

個性的で、かつ圧倒的な実力を持つ男たちと、神速の守備でそれを支える紅一点のくノ一。

それぞれが異なるルーツや背景を持ちながらも、「世界一」という一つの目標に向かって歯車が噛み合い始めていた。

「へっ、面白い……! あんなモンスターどもが相手なら、俺のジャガーボールも一層投げがいがあるってもんよ!」

額の汗を拭いながら、豹馬は不敵に笑う。

世界最高峰の戦い「ドリームチャンピオンシリーズ」へ向けた荒武者ジャパンの歯車は、いま、最高速度で回り出し始めていた。


(第4話へ続く)

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