第17話:大投手戦!
勝てば王手死守、負ければその瞬間で世界一の夢が潰える東京ドームの第6戦。
緊迫した空気が包み込むマウンドへ上がったのは、中5日で先発の大黒柱・銭形豹馬だった。
「ふう……初戦のときは力みすぎちまったからな。今日は、俺の本当のピッチングを見せてやるよ」
不敵な笑みを浮かべ、豹馬は深く息を吐き出す。
この日の荒武者ジャパンは、キャッチャーにベテランの中森悠平を起用し、6番レフトには森島翔太を配置。豹馬自身は打席に立たず、投手としての全神経を投球に集中させる布陣だ。
対するDWAは、中4日の強行で登板するサイ・ヤンガー賞左腕、タロック・スカ―バル。
従って、荒武者ジャパンのスタメンは以下の通り。
【荒武者ジャパン・第6戦オーダー(後攻)】
1番(中)伊達鷲一郎
2番(遊)猿飛英恵
3番(一)達摩厳
4番(三)達摩豪
5番(指)大滝翔平
6番(左)森島翔太
7番(右)佐藤照明
8番(二)真木秀悟
9番(捕)中森悠平
先発投手:銭形豹馬
試合が始まると、東京ドームの観客は息を飲むことになった。
かつての荒々しい速球勝負から一転、この日の豹馬は違った。得意球のジャガーボールと銭形ツーシームを封印し、多彩な変化球をコーナーへ投げ分け、チェンジアップなどの緩急を存分に使ってDWAの強力打線にタイミングを全く合わせさせない。
「打たせて取る……! 信頼のバックを信じて、野手のグラブに球を収めるだけだ!」
伊達鷲一郎の俊足を活かしたセンター守備や、真木秀悟と猿飛英恵の鉄壁の二遊間が、豹馬の投球に応えるように次々と打球を好捕していく。
メジャーの超スターたちが並ぶDWA打線が、豹馬の巧妙な術中に嵌り、面白いように凡打の山を築いていく。
一方、DWAの先発・スカ―バルも異次元の投球を見せていた。
160km/hに迫る剛速球と鋭いスライダーの前に、荒武者打線は完璧に封じ込められる。伊達、真木、達摩兄弟が懸命にバットを合わせるも、わずか被安打3本のみ。8回表まで、両チームともに一人のランナーすらまともに生還させない、まさに息を呑むような「大投手戦」が展開されていく。
『信じられない投手戦です! 銭形豹馬、そしてタロック・スカ―バル! 両先発が完璧すぎるピッチングを披露し、なんと9回表を終えて0対0の完全な互角……! スカ―バルは8回まで荒武者打線を毎回3人ずつに抑え込む完璧な内容です!』
そして迎えた9回表。
DWAの攻撃を、豹馬が執念の投球で三者凡退に打ち取る!
『三振! 銭形豹馬、9回を投げきり、被安打ゼロの完璧な投球――なんと、この大舞台で偉業となるパーフェクトピッチングを達成しましたぁぁぁ――っ!!』
東京ドームが割れんばかりの大歓声と拍手に包まれる。
マウンド上で大きく息をつき、汗を拭う豹馬の背中に、ナインが駆け寄り次々と背中を叩いて讃えた。
「豹馬、すげぇよ……完璧だ!」
「あとは俺たちが点を取るだけや!」
9回裏、荒武者ジャパンの攻撃。
スコアボードに並んだ無慈悲な「0」の並び。この緊迫の極限状態で、打席には先頭の佐藤照明、あるいは上位打線へと回る。
歴史的偉業を成し遂げたエース・豹馬に報いるため、そして土壇場で世界一への望みを繋ぐため――荒武者たちに、劇的なドラマの幕が上がろうとしていた!
(第18話へ続く)




