第15話:荒武者たちの大逆襲
対戦成績「1勝3敗」。もう後がない京セラドーム大阪の第5戦。
試合開始1時間前、球場内の熱気が高まる中、荒武者ジャパンのベンチ裏で井草匡仁監督がメンバー表を壁に貼り出した。
「……なに!? これが今日のオーダーか!?」
ナインからどよめきが沸き起こる。
ここまで4試合不動だった打順と守備位置が、劇的に組み替えられていたのだ。
不振に喘いでいた鈴江誠也が打線から外れ、7番ライトには持ち前の長打力を誇る佐藤照明が抜擢。さらに、絶好調の猿飛英恵を2番ショートに引き上げ、3番・達摩厳、4番・達摩豪という「浪花の主砲兄弟」をクリーンアップの中心に据える。5番に大滝翔平、6番にはレフトとして銭形豹馬が入り、キャッチャーには山下祐大が起用された。
【荒武者ジャパン・第5戦新オーダー(先攻)】
1番(中)伊達鷲一郎
2番(遊)猿飛英恵
3番(一)達摩厳
4番(三)達摩豪
5番(指)大滝翔平
6番(左)銭形豹馬
7番(右)佐藤照明
8番(二)真木秀悟
9番(捕)山下祐大
先発投手:前多悠伍
「誠也、すまん。今日のところは控えに回ってもらう。代打の準備をしておいてくれ」
「……はい! 監督、悔しいですが……ベンチから全力で声出します!」
井草監督の静かだが力強い言葉に、鈴江は悔しさを押し殺して頷いた。
「おいおい、俺たちが生まれ育ったこの大阪で崖っぷちやなんて、冗談とちゃうぞ!」
「せや! ウチらのホーム……ちゃうわ、アウェイやけど京セラドームで、このまま黙って引き下がれるかい!!」
サードの達摩豪とファーストの達摩厳が、地元・大阪のファンの応援を背に受けて関西弁で気勢を上げる。
一方のDWAは変更なし。先発マウンドに上がるのは、ニューヨーク・ヤンケース所属の超大型右腕、キャム・シュルトラー。160km/h超の快速球を誇るメジャー屈指の好投手だ。
試合開始のサイレンが鳴り響く。DWAがホームのため、荒武者ジャパンは1回表の攻撃から試合が始まる。
「よしっ、いこうぜ!」
1番・センターの伊達鷲一郎が、静闘の気配を纏いながら打席へと向かう。
マウンド上のシュルトラーが投じた初球、159km/hの豪速球! 伊達の「心眼」が一瞬でその球軌道を捉えた。
――キーィィィンッッ!!
快音とともに放たれた打球は、ライト線を深々と破る鮮やかなツーベースヒット!
「ノーアウト二塁! 新オーダーの1番・伊達が初球から電光石火の出塁だーっ!!」
「よっしゃあ! 伊達兄ナイスバッティング!! 」
一塁側ベンチから、銭形豹馬が満面の笑みで大きく手を叩いて叫ぶ。伊達を「伊達兄」と慕う豹馬の気合が、ベンチ全体をさらに熱くさせる。
続く2番・猿飛英恵が進塁打を意識しつつも、相手の隙を突く鋭いセーフティバントでさらに揺さぶりをかける。
そして1回裏。DWAの攻撃を迎えるマウンドには、荒武者ジャパンの先発・前多悠伍が上がる。若い左腕は気負うことなく粘りの投球を見せ、DWAの強力上位打線を立ち上がり三者凡退に打ち取る絶好のスタートを切ってみせた。
崖っぷちに追い込まれた令和の荒武者たちが、井草監督の大胆な采配とホーム・アウェイの利を越えた執念のもと、牙を剥いてついに「大逆襲」の狼煙を上げたのだった――!
(第16話へ続く)




