↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
16/27

第13話:荒武者、初戦を飾る

スコアは8-3。

猿飛英恵の執念がもぎ取った満塁ランニングホームランにより、東京ドームは狂喜乱舞の渦に包まれた。ダイアナ・ムーンストーンをマウンドから引きずり下ろし、荒武者ジャパンは勝利へ大きく王手をかけた。

そして迎える8回表。

先発として7回を投げ抜いた銭形豹馬に代わり、ブルペンから背番号「1」の男がゆっくりとマウンドへ歩み寄る。

「あとは任せてください。しっかり抑えてきますよ」

マウンド上で豹馬とグータッチを交わしたのは、サンディエゴ・パラダイス所属の守護神左腕、松江裕樹。

メジャーの強打者たちを幾度となくキリキリ舞いさせてきた「小さな大魔神」が、気負うことなく淡々と投球練習を始める。

DWAの攻撃は上位打線から。しかし、松江の代名詞である「スプリット」とキレのあるストレートのコンビネーションに、メジャーのスター軍団すらタイミングが合わない。

代打で送られた強打者をも鋭い変化球で空振り三振に斬って取り、8回表を完璧な三者凡退のゼロに抑え込んでみせる!

「よし、完璧なリリーフだ!」

ベンチに戻る松江を、豹馬やナインが満面の笑みで出迎えた。

そして迎えた9回表、ファイナルイニング。

東京ドームのボルテージは最高潮に達し、球場全体が地鳴りのような大歓声に包まれる。

「いけぇ、最後を締めくくってこい!」

マウンドに上がったのは、荒武者ジャパンの最終要塞、背番号90・松島新也。

中京ドラゴンズで「令和の鉄腕」として君臨する剛腕が、気合の入った表情で巨体を微動だにさせず前を見据える。

DWAの執念の反撃も、松島の前には通用しない。

初球からミットを鳴らす150km/h後半の豪速球に、DWAの打者たちはバットを押し込まれる。最後は内角をえぐる凄まじいシュート回転の直球で詰まらせ、ボテボテのファーストゴロに打ち取った!

――パァンッ!!

「スリーアウトゲームセット!!」

球審の威勢の良いコールとともに、東京ドームの歓声が爆発した。

8-3。投打がかみ合った荒武者ジャパンが、世界の強豪・DWAを相手に堂々の初戦勝利をもぎ取ったのだ!

マウンドを中心にナインが歓喜の輪を作り、熱い抱擁を交わす。

見事な白星発進を決めた日本代表の興奮冷めやらぬ中、試合後のグラウンドには特設のお立ち台が用意されていた。

「それではこれより、歴史的な初戦を勝利で飾りました、荒武者ジャパンのヒーローインタビューを行います!」

球場アナウンスに呼ばれ、お立ち台に上がったのは二人――いや、三人だった。

指揮官である井草匡仁監督と、この試合で猛打を爆発させた達摩兄弟(兄・厳、弟・豪)の姿がある。

「まずは井草監督、見事な初戦勝利となりました。今の率直なお気持ちはいかがでしょうか?」

マイクを向けられた井草監督は、穏やかな笑みを浮かべつつも、鋭い眼光でスタンドを見渡した。

「いやぁ、選手たちがよくやってくれました。初戦という独特の緊張感の中、豹馬がゲームを作り、打線がつながり、中継ぎ陣も完璧に仕事をしてくれた。まさに全員野球の勝利です」

続いて、インタビュアーのマイクロホンががっしりとした巨体の二人に向く。

「そして打線で大爆発! この日2本のホームランを放った4番・達摩厳選手と、猛打賞の5番・達摩豪選手の兄弟です!」

兄・厳がマイクを受け取り、冷静沈着なトーンでありながらも関西弁訛りで答える。

「まあ、初戦やし絶対に負けられへんかったからな。自分のバッティングができて良かったです。……あ、次の試合も、こうして兄弟揃って打ちまくりますわ」

隣で豪快に笑っていた弟・豪が、すかさずマイクを横取りして関西弁全開でまくし立てる。

「何言うとんねん兄貴! 俺のほうが打球の勢いは凄かったやろ! いやホンマ、東京ドームのファンのみんなの声援がすごすぎて、テンション爆上がりやったわ! 次もウチらの豪快な一発で相手を木端微塵にしたるから、期待しといてや!」

豪の威勢の良すぎるコメントに、スタンドからは割れんばかりの爆笑と大歓声が沸き起こった。

世界最高峰の短期決戦「ドリームチャンピオンシリーズ」。

最高のスタートを切った荒武者ジャパンの快進撃は、まだ始まったばかり――!

(第14話へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。