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ゲネプロ  作者: 真鍋
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タイトル未定2026/05/24 11:16

 午後の予定を全てキャンセルすると箱根へ向かった結局真依だけを連れ土門と2人には留守を頼んだ相変わらず隣には獣がいたが道中口を聞く事はなかった、助手席の裕二と真依は楽しげに歌を歌っていた懐かしい歌であった昔、聞いた事があるような暫く記憶を辿ってみたが思い出せる訳もなく私は清井に到着予定時間を聞くと眠りについた。


「次のぉー北国行きがぁ来たらぁ乗るのー

 スーツケースをひとつぅ下げて乗るのー

  アー!」


 不思議な夢を見た、珍しく楽しい夢、大勢で食卓を囲んでいる、海で遊んでいたスイカ割り、男の子が私に棒を振り下ろす大きな腕が私を守ってくれる、肩車されているのか皆が遥か眼下を歩いて歌を歌っている、広い部屋で皆んなで寝ている縁側では大きな腕の人と綺麗なお姉さんが話していた、その向こうには大きな月が⋯


「⋯いっ、おいっ庄崎着いたぞ」


 久しく見ない心温まる夢、全身が平穏に包まれ陰惨な現実が遠退いてゆく感覚、それを引き戻そうとする清井を殴り付けたくなった、左のドアは既に開き真依は裕二と手を繋ぎ遠足気分で歩いていた右では扉が開かないと獣が吠えていた。


「庄崎、寝起きで悪いが早く出てくれるかガンさんが扉壊す前に」


 元々は私が差押え車両をタダ同然で入手してお前にやったのだドアの1枚くらい気にするなと言いたい気分であるがまぁ私も大人だそこは黙って従うと外へ出た鬱蒼と蔦の絡まる門扉、片方は既に己の役目を放棄していたその奥には廃病院があった、怨霊に取り憑かれ揃いも揃って虚言を吐いているのかこの病院にはそんな禍々しい物を感じたどの道ここには何かあるに違いはなかった、私は清井が降りてくるのを待ち中へ入った真依と裕二は既に建物内で見えなかった。


「なかなか雰囲気あるだろ、夜来ると本格的だぞ」


 清井は一体誰に向かって物を言ってるのか理解しているのだろうか今一度粛清がこの男には必要であると黙って後ろをついて行った、内部はまさしく廃病院、板張りの廊下は荒れ放題で何処も底が抜けそうであった、背後から着いてくる獣の体重を支えられるのか心配である勿論心配なのはこの廃病院の方であるのは言うまでもない、廊下は回廊に行き着いた中庭の周囲を取り巻く回廊、ふと中庭に目をやれば陽の光が植物照らしていた廃病院でありながらこの中庭だけは何故か生命感が満ちあふれていた中庭と回廊を仕切る窓は枠はあれどガラスなどははまっていなかった私は手を伸ばし植物の葉に触れた、その途端だった植物ではあり得ない奇妙な感覚が流れてくる“乾き”でなく肉食獣の様な“飢え”の感覚、思わず手を引いた何だこの植物は改めて植物の全体像に目をやると奇妙だった地中から茎が伸び50cm程の処に大きなコブがありそこから枝葉が伸びているそして枝の先端には拳大の蕾が開花を待っているのか微かに開いていた私はダメ元で誰かに聞こうとしたが真依以外の3人は陽の光を嫌っているのか廊下の壁に沿い歩いていた。


「お前達何をしている?」


 清井は若干顔を引き攣らせ首を振り私を手招きしている意味がわからない、私は清井を掴むと引き寄せこれは何かと聞こうとすると天井にあるスピーカーから声がした。


「日中は普通に光合成をしているから大丈夫だ」


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