タイトル未定2026/05/19 11:31
「⋯だが、裁定機関も苦渋の決断でしたが彼を更生再構築する事になりました、彼は2つの星系と数知れない惑星から極刑を求められていますが、彼の頭脳は失うには余りにも⋯」
「では博士は!」
僕は男の言葉を遮る様に叫んだ、やはり何処かで博士を憎みきれないでいたのだ、しかし続く男の言葉で現実を突き付けられた、博士の記憶は抹消され別の記憶に書き換えられると言うのだ僕は男に嘆願した『地球に来てからの博士は⋯』僕はそこで続く言葉を呑み込んだ博士は僕らを創造し育んでくれもしたがそれは保身の為しかも裏では保険を掛けていたのだ“意にそぐわなければいつでも処分できる”僕は無言で連行される博士の前に立ちはだかった。
「すまなかった⋯裕二」
本心だったのだろうか今となっては知る由もなかった、それから博士の記憶は削除され僕はただの青年と認識される存在になった、半年後入れ替わりで母星へ帰る面々に鈴華姉さんはついて行った、しかし暫くして自死したと聞いた、鈴華姉さんには“自傷衝動”があった僕らは各々抑えられない衝動が発作的に起こってしまうのだ因みに僕は“性衝動”兄貴は“破壊衝動”嘉代ねぇは“賭博衝動”海斗兄さんは“支配衝動”力を得る代償の副作用、到底まともな生活は送れないのだ、それでも嬉しい知らせはあった兄貴が手足をちゃんと付けて戻ってきたのだ、この世の終わりかと思うくらいかなりご機嫌斜めであったが。
しかしここで大きな問題がひとつ露呈する僕らは特殊な抗体を接種しなければ30日程でベースとなる生物の遺伝子に人間の遺伝子が飲み込まれるのだ博士がいなければ抗体は精製できない僕などはベースがかなり小型なので40日は平気であるが兄貴のベースは大型獣、3週目の後半から少し様子がおかしくなる心配する振りをして笑いを堪えるのが大変なのだ、しかしそれ以上進行すれば笑い事では済まなくなる半年分抗体のストックはあったがこのままだと来年の僕らの命の保証はなかった鈴華姉さんはいない海斗兄さんはそのまま自衛隊に残った嘉代ねぇはふらっと居なくなり音信不通、兄貴と僕は2人で施設に残り在庫の食料を心配しながら生活する日々だった明日で26日、そろそろ兄貴が不調をきたす頃だった。
「皆んなどうしてるんだろ?そろそろ30日だよ⋯」




