タイトル未定2026/05/11 02:55
「ご苦労様です」
佐久間が指揮所で挨拶をする、周りの者達はこちらの装備を初めて目にするのか痛い程の視線を感じていた佐久間は現状の説明を受けていたがHMDS内には既にその程度の情報は全て表示されていた風は南西、延焼面積は北東方向へ拡大するだろう最悪荒川までここら一帯は焼け野原になる確率値が表示されていた、であるなら我々の役目は延焼を防ぐ事だ炎上地域東端部の避難、救助と共に建物の破壊である、昔ながらの火消しの手法であるが延焼を防ぐならこれに勝る方法はない、この先将来的に火炎を瞬時に鎮火する薬品なり装置が開発されない限り“破壊消火”は今後も続くであろう。
消防は極狭路でも行動できる車両と共に北東から延焼を防いでくれと指示を受けたが佐久間は特救のみで北東面を受持つので要救助者の収容だけ頼み、消防は引き続き南西からの消火にあたって欲しいと伝えた、自然風は強くはないが相変わらず南西風、近海に台風は発生してないが風向きが変わるとポイントの変更を強いられる、そして大問題がひとつあった破壊消火の時間的猶予であったこれ以上延焼面積が拡がれば破壊消火は逆に火災旋風を助長してしまうのだ、火炎温度は1000℃を超え輻射熱も酷く吹き荒む風は優に80m/s を超える現象、我々特救は装備により問題はないが消防隊員及び市民はひとたまりもない現在その猶予時間の算出を基地で行なっているのだろうが未だ答えは出ていない。
「佐久間、急がないとマズいよ」
「あぁだが残り時間の算出がまだだ」
「算出まで時間が掛かってるって事は少なくとも15分は猶予があるって事よ」
五十嵐が考えるに猶予時間のデッドラインはまだ先にあるから算出に時間が掛かっていると佐久間へ伝えたが、それはあくまで五十嵐の勘であり火災旋風発生時の被害を考慮するに決断には到底至らなかった、佐久間は判断を深見隊長に預けた。
「すぐ行動に移せ、責任は私が負う」
隊長は五十嵐の意見に賛同した、我々は一旦機へ戻ると装備を整えてティルトローターで上空から現地へ降下、その後、消火行動に移る事にした。
「炎上地域の上空をショートカットする、かなり揺れるぞ」
「ダウンウォッシュが怖い、ホバリングなしで降ります」
佐久間はホバリングせず通過する機から降下すると言うのだ降下ポイントは道路上になるだろうが現地ではその狭い道路に逃げ惑う市民が溢れているはずだ私はラペリングでの降下へ変更して地上の状況を確認してからの降下を進言した、しかし上空を通過する機からのラペリング降下など聞いた事はない、だがこの装備をもってすれば可能であろうと後部ハッチを開きロープを垂らした状態で機は離陸した、先頭は佐久間、離陸後ロープを伝い末端まで降下する続き由依、五十嵐、迅、加藤、最後に私が降下してゆく、機が水平飛行へ移ると眼下の5人が後方へ振られる。
「なるべく広い道路上空をトレースして下さい」
「無理だ、飛行速度に合う直線道路などない」
「了解です、なるべく道路の上をトレースして下さい後はこちらでなんとかします」
「了っ」
機が軽くロールすると眼下の5人は斜め後ろへ移動した。




