ご主人様と奴隷 1
やあ、みんな。
ご機嫌いかがかな?
俺様は、バルザック。
前世ではあらゆる罪悪の災厄の化身として世界の全てから畏怖されていた大大魔王様だよ。
ひょんなことから命を落として、あわや虚無の彼方に消え入るだけと思っていたのに、慈悲深い〆切に迫られたポンコツ女神様に見惚れて、なんやかんやあって新たな生を受け受肉。
裸一貫でこの世に顕現⭐︎しかもなんもない森!森!
詰んだね。俺様じゃなきゃ♪
しかも、いきなり殺意MAXのスライムとエンカウント!死闘を繰り広げ、なんとかいきなりゲームオーバーになることを回避+従順な配下をGETし戦略と移動力、愛らしさ倍増に成功!
寒空の中、出会った新人冒険者らに上手いこと乗せられつつ、過去にとった杵柄で色々試練を与えてあげました。
そんなこんなで、初めて人のいる町に到着。
慣れ親しんだ冒険者らとも涙涙の別れの場面。
だけど、俺様には試練がある。
胸に信念携え、次なる場面はというと……
「にーちゃ!」「バルにーに」「あそぼー」「ねーねーねーゃ」
………………
身なりの整った幼い子どもたちが、俺様の周りに集まっている。
俺様は今、掃除をしている。
大きなお屋敷にあるこれまた広い庭。
落葉樹が多いせいか、掃いても掃いても終わらない。
「忙しいんだ!テンと遊んできなさい!」
「えー」「テンちゃんとこ、いっぱいいるもん」「いるもーん」「遊んでー」「あそぼー」
視線を移すと、広場で大きく膨らんだテンに複数人の子どもたちが飛んだり跳ねたりして遊んでいる。
テンに至っては、体の一部を変質させ、滑り台やジャングルジムみたいな遊具も作って、子どもたちを喜ばせていた。
器用なものだな。
「こっちは掃除をしているの!テンのとこで順番に遊んでらっしゃい!」
「ぶー」「けちー」「ケチー」
しつこくブー垂れる子どもたちに箒を振り上げて威嚇すると、きゃーきゃー言って離れていった。
「まったく……?エレノラ…なぜ裾を掴む?」
掃除に戻ろうとした俺様の背後に一際小さな女の子が、服の裾を掴んできた。
エレノラは顔を真っ赤にして涙目であった。
―――嫌な予感。
「おといれ……」
的中。
すぐに身体を掴んで屋敷に走る!
生前の撤退戦以上の速度が出たと体感では思った。
結果は、みなまでいう必要もない。
そう、何もなかった。
―――――なんで!こうなった!?
事の経緯は、3日前、あの2人と別れてからだ…




