表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元魔王の異世界冒険譚  作者: Undo
第二章 転生と出会い
PR
26/35

旅の道づれ 

嘘をついている。

俺様の問いかけにエリスの表情が強張る。


「な、なんのことかしら……」

平静を取り繕っているが、まだ感情を隠すのは上手くないらしいな。

目が泳いでいるぞ。


「だって…ボクのこと不気味だって」

「そ、それはそのぉ…」

「怪しいとかも言ってたし…それに…」


涙を目いっぱいに溜めて、少し声を震えさせる。


「友だちの…テンのこと悪く言ってた」

「そんな人の言うこと信じられる?」


そこまで言って、顔を両手で覆い、エンエンとわかりやすく泣き声をあげてやる。

泣く主の傍らに従魔のスライムが擦り寄り、頭や背中を摩って慰めていた。


「あ、ぁあのね!それはその、なんと言うか…」

「…えーんえぇーん」


「だから、その私は別に…」

「あぁあーもーー!アッシュゥッ!!」


時折チラ見しながら泣き続けていると、どうしていいかわからないエリスが相方に助け船を求めた。


ハイハイと呟きながらアッシュが、俺様とエリスの間に入ってきた。

俺様の頭に軽く触れて、 


「これぐらいで勘弁してやってくれよ」

「コイツ金に目が眩みやすいんだけど、良いやつなのは間違いないから」


膝を折り、俺様と視線を合わせて諭すように頭を撫でてくる。

此方も嘘泣きを止め、笑顔で応えてやる。

意地悪するなら、されるリスクも考えないとな。


「わかった!でも…」

「ボク早く街に行きたいんだ。お兄ちゃん達も早く帰りたいでしょ?」


どうしてと問いかける。

考えるアッシュ。

相方に視線を送るが、首を横に振っていた。

……まだ理解できんか……


若干諦めかけていた、見込みがなかったかな?


「よし!正直に言おう!」


意を決して、大声でアッシュ吠える。

「兄ちゃん達はな、貧乏なんだ!」


へえぇ…

「まだ冒険者になって3ヶ月なんだけど、お金がない!経験もないから、ランクも上がらない!」

「でも腹も減るし、喉も乾く。必要な物はあるし、借金も減らない」

「一回だけ、先輩冒険者のおこぼれでこなした依頼でまとまった金が入ったんだけど、その時の金はコレ!」

「このトゥーハンドソードとエリスのマントの代金に変わった!」

「しかも、どっちもローンよ…」


ほうほう…

「何をするにも、金金金カネカネかね…」

「割のいい、報酬がいっぱい貰える仕事ってことで木の実採取の仕事をしていたんだ」

「安全だし、手数料も低い、ギルドの貢献度も上がる」

「でも人気で、競争率が高い上に近場はほとんど取り尽くされてる」

「できるだけ多く採って帰りたいんだよ、だから」


手を握り、キラキラした笑顔を向けるアッシュ。


「手伝ってくれるなら、街まで送るし、その間の護衛もやる!」

「…だから、バルザック。俺たちを助けて欲しい」


握った手が若干震えている。恐怖ではなく、不安。


後ろの相方の表情が曇っているのも、どうなるかと言う不安だけだな。


……まぁ、及第点をやるか。


「どれぐらいかかるの?」

「!!!!!!」


驚きを隠せない2人。

顔を見合わせて、手を合わせる。

「えっと、それは手伝ってくれるってこと…?」


俺様は答えない。

代わりに軽く頷いてみせる。不安を残した笑顔で。


ホッと胸を撫で下ろすエリス。


「ありがとな!」

暑苦しい笑顔を向けないでほしいな。暑苦しい。


「ほらな、エリス。あんま勘繰りすぎるのはダメたぜ。正直が一番」

「う、うるさいわね!仕方ないじゃない。いままで本当に大変だったんだから…」


コイツらにも色々事情があったのだろうが、それを踏まえても、こんなか弱い少年を利用しようなぞとは、けしからんな。


「お姉さん怒ってない…?」

「お、怒ってないわよ!」

「ホント!?……よかったぁ!」


満面の笑みでお礼を言う。

我ながらあざとさ満点で、他所でやってる奴がいたら爆笑しているぞ、まったく。


エリスはキラキラ光る笑顔を直視出来ず、耳まで真っ赤にして、顔を背けていた。


「さ、サッサと探しに行くわよ!今日中に見つけて帰り支度しないといけないんだからね!!」


ズンズンと森の奥に入るエリスに続き、アッシュの後をテンに乗って悠々と着いていく。


僅かな時ではあるが、旅の道づれとして出来得ることはしておいてやろうかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ