旅は道づれ
手にいっぱいの木の実。
2人が探していたエールベリーなる木の実を差し出してやる。
「ど、どうやって、こんなに」
「あそことあそこの木にあったよ」
ニコニコの笑顔で採った木を指差してやる。
「ギュッて目に力入れたら、光って見えたんだ」
「テンに身体伸ばしてもらって光ってるところを探したら木の実があったよ」
「目に…」
「ギュッ?」
オウム返し答える2人。
目を力一杯閉じては開くを繰り返すアッシュ。
目に手を当ててみるエリスは、少し考えたのちに、あっと何かに気がつく。
スッと目を閉じて数回の深呼吸。
眉間に皺を寄せて、目を見開く。
目の周りには、赤い膜のようなものが覆っていた。
辺りをキョロキョロとして見せる。
しばらくして、一本の木を叩くと、お目当ての木の実がパラパラと落ちてきた。
「な、なるほどねーエールベリーはポーションの素」
「その実に魔力が宿る、コレは盲点だったわ…」
そう。
目に魔力を込めると、魔力の流れが見えるのだ。
魔導士なら自然とやっているものだと思ったが、まだまだ駆け出しなら仕方ないか。
「ねえねぇ…木の根元にもこんなのあったよ」
嬉々として木を叩く2人に追い討ちの一品を見せてやる。
「なんだコレ?キノコ?」
「!?!?」
見せたのは青白いキノコ。
僅かに発光している一見して毒キノコの類だが…
「き、き、キミッ…コレって」
声が裏返り、震えている。
何かは知らないが、先ほど実より強い光を感じたので採っておいたものだが、当たりだったみたいだな。
「ホロニウムダケ…」
「はじめて見たぁ…」
キノコを手にうっとりしているエリス。
お気に召したようだな。
「ホロ…?なんだって?」
「ホロニウムダケ!高純度の魔力を有したキノコよ」
「滅多に市場に出ない素材」
「そのまま食べれば、魔力が上がる優れ物!」
「これ一つで半年は遊んで暮らせるわよ」
興奮気味に説明してくれるエリス。
中々の希少素材だったみたいだな。
「採取前と採取後で色型が全然違うから、見つけるのが難しいはずなのに…」
此方を見て何か言いたそうなエリス。
ニコニコと笑顔を崩さない。
「キミ、名前は?名前も覚えてないの?」
「…バルザック」
少し口籠もって答えてみる。
そう。とエリスは短く言うと、
「バルザックくん。私たちはもう少し、探索を続けるわ」
「それが終わったら街に戻る。それでいいなら付いてきてもいいわよ」
「エリス。いいのか?さっきと言ってることが…」
「おだまりバカアッシュ!」
相方の首を掴んで、俺様から2人で少し距離を取った。
エリスがヒソヒソと耳打ちしているのがわかった。
唇を読むと、
「依頼の数は揃ってるだろ?早く街に帰ろうぜ」
「バカ!私たちに余裕なんてないのよ!もっとたくさん採取して、報酬上乗せしないと」
「でも、どうやって?」
「あの子、どうやら希少素材が見えてるみたいじゃない。うまいこと言ってもっと見つけさせるのよ」
悪い顔してるな。
まあ、使える物を最大限に利用することには賛成だが。
「えぇー子どもを騙すの嫌だぞ」
「おだまり!あんたのその剣と私のマントのローンにギルドの貸与品の貸付金、まとめて返済出来るチャンスなのよ!」
借金苦か…
まぁ叩き上げの冒険者なら、無い話ではないか。
「ホロニウムダケがあと2.3個見つかったら、それなりの装備と日用品とかにも余裕がでる」
「いい宿にも泊まれるのよ!」
「もう馬小屋はイヤなの!お風呂!入りたい!」
鬼気迫るエリスの猛攻にわかったわかったと抵抗を止めるアッシュ。
話はまとまったようだな。
息を整えて、出来るだけ年上の余裕を見せるエリス。
「で、バルザックくん。私たちの提案はどうかしら?」
「んーどうしよう…」
即答せずに、少し考える素振りを見せてみる。
エリスの提案は俺様としては、願ってもないものだったが…
「……お姉ちゃん。ボクに嘘ついてない?」
エリスの表情が強張ったのは見逃していない。
さて…少し試してやるとするか。




