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元魔王の異世界冒険譚  作者: Undo
第二章 転生と出会い
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初陣

魔法。


(ことわり)を正しく読み解き、『力ある言葉』を用いて、超常を起こす業。

前世で数多の魔法を駆使してきた。


眼前の軟体魔物を四散させるべく、内側から爆発させる魔法を行使した。


……はずだった。


俺様の発した『力ある言葉』はただ空を切っただけ。


考えられる原因は、


1 術式を違えたか?→ いや、そんなはずはない。


2 魔力枯渇?→ 身に棲まう魔力は充実している。


3 世界の違いによる発動条件の違い?→ 最有力


発動させるための考察は…

…させてはもらえそうになさそうだな…!


わずかな思案の中、スライムが突っ込んできた。


直線的攻撃、避けるの容易い。

が、今は危ない。


先ほどと同じように、大きく前転して攻撃導線から離れる。


身体の状態、どれぐらいの動きが可能なのか。


検証する前に現れた敵。


手足も短い。

反応が遅い。

そのくせ回る頭。

身体のタイムラグがもどかしい。


そうこうしている間もスライムの猛攻が続く。


身体を細長く伸ばして、鞭のように横薙ぎに振う。


「危なっ!」


身体後ろに仰け反らして、鼻先を掠めるもなんとか避けるが、バランスを崩し仰向けに倒れてしまう。


さらに猛攻は続き、今度は上から何度も叩きつけてきた。

一撃ごとに地面が抉れる。


土が、石が、散弾の如く爆ぜて襲いかかる。


「おおあぁぉッッ!!?」


数度の猛攻を地面を左右に転がりながら、なんとか避ける。

頬から、腕から、足から、あちこちに生傷が生まれていた。


着ていたボロ布はさらに見る影も無くなっていた。


こちらのスライムのなんと凶暴なことよ。

是非、元の世界にスカウトしたいな。

我が軍にいたら前衛隊長にでも据えてやるところだ。


なんて思考を巡らして見るが、身体は正直だ。


左肩の感覚があまりない。

あちこち痛いし、多分血も出ているな…


今ある手で、凌がなくては……ジリ貧だな。


では、一か八か。


「勇ましいかな誇り高き、闇の眷属よ!」


木の棒を支えに立ち上がり、大きく吠えた。


何事かと、スライムは動きを止める。

やはり、コチラの言葉を理解している…


「我こそは、女神ヘスティアの眷属、バルザック」

「不倶戴天の敵である、我らが因縁」


手にした木の棒を剣に見立て、往年の騎士が如く振る舞う。


「そなたに誇りあるならば、我と一合、その身を賭けよ」

「名もなき魔物の身であらんとしても、命を賭けるなら、全身全霊でお相手しよう」


剣を刺し向け、決闘の意を示す。


さて、どうでるか……


静寂。


風の音。


そして、


プルルルルッッッ!!


眼前のスライムは激しく身体を震わせる。


なるほど。

気骨のある奴じゃないか!



スライムとの間に緊張が走る。


右手に力が篭る。

半身になり、右足に重心を乗せて、その時を待つ。


相手はまだ動かない。


楕円の身体をゆっくりと揺らしている。


再びの静寂。


風が木々を揺らす。


同時、木漏れ日が俺様たちの間に割って入る。


瞬間、スライムが槍の如く変化し、襲いかかる。


合わせて、右足を蹴る。


初動がわずかに遅れた。

最高速には届かない。


スライムの槍が眼前に迫るのがわかった。


仕留めた。

そんな風に笑ったようにも見えた。


脳天に槍が刺さり絶命………


なんてことになってたまるか!!


迫り来る絶命の一撃を、()()で無理やり逸らす。


「…ッッッツぉぉおおおっっっだらあぁぁっっ!!!」


半身に走る激痛に耐えながら、槍に流された勢いを乗せて、右腕を伸ばす。


狙う箇所は決まっている!


「砕けろぉォッッッ!!」


渾身力を込めて、木の棒(つるぎ)を繰り出す。


木の棒(つるぎ)が柔らかな流体を裂き、奥で硬いものを叩いた。


……核だ。


魔導核。


魔物の急所。


確かな手応えを感じた。

その証拠に、スライムは身を震わせる、力なく地面に広がる。


コイツがスライムで助かった…

さっきの攻勢で、核がわずがに見えなければ危なかったな……


今なにを考えた?

……危ない?


誰が?

俺様が?


フフフッッ…

俺様が…

スライムに命を取られそうなったか…


長生きはするものだな…


兎にも角にも。

「面白き人生が始まったものだな」

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