魔王の交渉3
……さて、現状把握をしようか…
代理人は俺様1人。
神の加護の付与は絶対。
特殊能力は1つ
能力減退は10000分の1
………ひどいな。
まあ、向こうもこれが受け入れられるとは思っていないだろう。
大事なことはどれだけすり寄せられるかだが…
いかんせんあの女神の存在がネックだな。
ジッと見つめる六眼。
興味がなさそうな態度を取ってはいるが、その視線に肌が粟立つ。
『嘘を見抜く』?
……いや…あくまで能力の一端、本質は…
「彼女はコルトゥニス」
「僕やクリアと同じ三神の一柱」
「彼女の権能、六眼は僕でも正直者になるね」
ギルベルトの解説。
ニッコリ笑う男神を六眼が白い眼で見ている。
コルトゥニスと呼ばれた女神はふぅとため息を吐き、軽薄な神を一暼した後、此方に向き直る。
なるほどな。
ご丁寧な釘刺しありがとうよ…
で、あるならば…
「まず、能力値の件だが…」
「10000」
ピシャリと遮られた。
取りつく島もないな、まったく…
「それが土台無理な内容だろう」
「こちらは1人で己らの選んだ選定者と争わねばならんのだそ?」
「一対一ならいざ知らず、闇討ちござれの総力ゲリラ戦で泥沼になった場合話にならん」
「せめて100分1にしてくれ」
1人での代表戦。
相手はどのような能力があるかわからない敵。
特殊能力に即死やなんでもできる系は原則ないとはヘスティアも言っていた。
そう、原則だ。
絶対ではない。
そうなった場合、勝負の舞台にすら立たない可能性がある。
会敵・即終了となっては話にならない。
増援もこれから僅かな時間にヘスティアの代表が他に現れるとは思えん。
そうなると、俺様の自力がモノをいう。
力が。
知が。
技量が。
経験が。
「だーめー」
「そもそも、1人での参加を決めたのは貴様だろう」
「そうね、あなたは異質。ギルの提示は決して突飛な値ではないわ」
指でバツ印をつくるギルベルト。
「100分の1っても、キミが歩いただけでそこらの上級の魔物が吹き飛んでしまう圧があるよ」
「9000分の1ぐらいなら検討してもいいよー」
話にならんな。
強すぎる基礎値。
そもそも、魔王が転生することがイレギュラーか…
はぁ。
なんのリスクもなく、糧を得ることはやはりできんか。
「………では、制約を設けるのは如何か?」
三神が反応するのがわかった。
ヘェと息を漏らすギルベルト。
ニュークリアとコルトゥニスも訝しげな表情になる。
「それは、僕らと契約するってことかな?」
「そんなわけあるか」
ハッキリと断る。
嫌悪にも似た拒絶だった。
神と契約?
馬鹿馬鹿しい。
「貴様らと契約なぞしてみろ、そちら優位な条件を押し付けられるのが目に見えておる」
「…神の祝福なぞ、反吐が出るわ」
祝福と言われれば聞こえがいいが…
押し付けられる善意の呪い。
…これは俺様の偏見だ。
経験上でのな…
「では、制約とは?」
ニュークリアの問いに、少し思案しつつ答える。
「まず、こちらの要求は、能力値100分の1」
「次に、特殊能力を本来得るべき人数分」
「加護は…まぁ。飲んでやる」
だからぁとギルベルトらからの抗議が上がる。
構わず続けよう、此度の核心を、
「この条件であれば、我が命を賭けよう」
「は?」
突然の静寂が場に訪れる。
さあ、「魔王の矜持」見せてやろう。




