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第十四話 腹黒令嬢は人形剣士に探りを入れる

書庫で怪しげな本を借りて来て、シュヴェアートと国王シルトとの関係を疑うシャイデ。

夜に二人の様子を窺おうとしますが……?


どうぞお楽しみください。

 ……ふぅ。

 美味しい夕食。

 食後の読書。

 明かりを気にせず本を読めるって贅沢だわ。

 そして家では読めないこの本!

 『騎士団長と新米騎士 男同士の禁断の恋』!

 久々に堪能した……。

 こんなの読んでいるのをモイスヒェンに知られたら何を言われるか分からないもの。


『お姉様ったら、こんな本を好んでいらっしゃるから婚期が遅れる一方なのですわ』


 ……いや、分かる。

 ありありと分かる。

 でも単なる恋物語よりも、禁じられているからこそ燃え上がる想いや、結婚や地位などに縛られない、むしろ捨ててでも想いを貫く愛を強く感じるのだ。

 婚期が遅れるならそれでも良い。

 いずれ家の為に嫁がなければならないのだ。

 今のうちに楽しみ尽くさないと。


「……」


 そして読み終わると私を包む静寂。

 言葉通り、シュヴェアートは部屋に戻って来ない。

 昨日見た通り、陛下の部屋の前で椅子に座り、警護をしているのだろう。

 ……もしかして。


「……」


 隣室、つまり陛下の寝室側の壁に耳を当てる。

 しかし当然ながら何も聞こえない。

 我が家のような薄い作りとは訳が違う。

 しかし、だ。

 もしここで扉を開けて廊下に出て、あの椅子にシュヴェアートが座っていなければ、それはつまり……。


「ふふふ……」


 別にその場を目撃しなくても良い。

 音など聞こえなくても良い。

 シュヴェアートが椅子にいない。

 それは私の予想が当たっていた事を示す。

 さて……。


「……シャイデ様」

「あ、すみません。起こしてしまいましたか?」

「いえ、構いません」


 椅子に座っていたシュヴェアートが閉じていた目を開けた。

 まぁそう簡単にはいかないか。

 私が陛下なら、シュヴェアートに私が寝入ったか確認させるだろうしね。


「それで何か御用ですか」


 陛下の寝所に入っていたかどうかを確かめに来たとは言えない。


「いえ、その、喉が渇いたのですが、水ではなくお茶を貰いたいと思いまして……」

「そうですか」


 疑っている様子もなく、シュヴェアートは天井から下がっている紐を引く。

 すると廊下の先で扉が開く音がして、侍女が駆けて来た。


「お呼びでしょうかシュヴェアート様っ!」


 うわぁ凄い迫力。

 この侍女もシュヴェアートの虜か……。


「シャイデ様にお茶をお願いします」

「……畏まりました」


 少し残念そうにしながら、侍女は頭を下げて部屋へと戻っていった。

 残される私とシュヴェアート。

 ……会話に困る。


「あ、あの、レーレ卿はお飲みにならないのですか?」

「夜警の際には水分を取らないようにしております」

「……それは、その、お手洗いに立たなくて良いように……?」

「はい」

「……」


 そこまでして警護にこだわる!?

 私の、いやシュヴェアートの部屋同様、陛下の部屋にはお手洗いも付いているはずなのに……。

 うーん、やっぱり忠誠心、なのかなぁ……?

読了ありがとうございます。


なかなか期待通りとはいかないようで……。


次回もよろしくお願いいたします。

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