第十三話 腹黒令嬢は人形剣士に疑念を抱く
シュヴェアートに頼み、書庫の閲覧を許可されたシャイデ。
そこで思わぬ本と出会い……?
どうぞお楽しみください。
流石は王宮の書庫……!
凄い量の本が整然と並べられている……!
思えば子ども時代、文字を覚えた私は本の世界に魅せられた。
しかし当時は貧乏だった我が家。
買えないからと機会を見つけては本を借りては、必死に書き写した。
物語から経済、歴史、文化、法律、その他諸々を書き写して、いつの間にか領内の経営にまで口を出すようになった。
そして今やハイルング子爵家は、裕福とは言わないまでも、貴族としての体面を保てる程度には持ち直した。
本は私と我が家の恩人だ。
「ふぅ……」
ひとしきり眺めて本に囲まれている感動を堪能すると、手近な本を手に取る。
……ふむ、ここは物語の棚のようね。
王子と公爵家令嬢の、婚約破棄から始まる恋物語……?
後でゆっくり読むとしよう。
他には……。
「!?」
な、何、この本は……!
『騎士団長と新米騎士 男同士の禁断の恋』……!?
さ、流石は王宮の書庫……!
こんな本まで置いているなんて……!
と、とりあえずこれも読むとして……。
「っ!」
……そうか……!
その可能性を私は何故見落としていたのか……!
シュヴェアートが陛下に恋心を寄せている可能性を……!
だからこそ休みもなく護衛をする事を厭わない。
自室よりも陛下の側にいようとする。
先日の婚約者探しの晩餐会で、最もシュヴェアートに興味を持っていない私を選んだ理由。
そう考えると全て辻褄が合う……!
そしてシュヴェアートだけを護衛騎士として身近に置く陛下……。
つまり陛下もシュヴェアートを憎からず思っている証明……!
しかしそうすると、婚約者探しを陛下がわざわざした意味は……?
「!」
そうか!
周囲の目を欺く為!
国王が護衛騎士と道ならぬ恋をしているなんて、醜聞にしかならない。
そこで婚約者を当てがって、さもシュヴェアートが結婚する事を後押ししているように振る舞う。
しかしその実は二人の愛の隠れ蓑!
そのうち陛下は跡取りの為に誰かを娶る。
その相手ともおそらくは仮初の夫婦となる……!?
「そこだ……!」
私は別に陛下を愛しているわけじゃない。
王妃という立場を得たいだけ。
それならば陛下と利害の一致を見るのでは!?
私なら陛下とシュヴェアートの仲を黙認できる。
跡継ぎだって私が子を産めないと宣伝して、王家に繋がる貴族から養子を取る手もある。
これならモイスヒェンをきゃふんと言わせて……!
「……いや……」
これはあくまで希望的観測に過ぎない。
本当に純粋な忠誠心の可能性もある。
下手に先走って陛下を侮辱した、などと思われたら、王妃の地位どころか命も危ない。
今後も様子を見ていこう。
そして確信が持てたその時には……!
ふふっ、ふふふふ……!
読了ありがとうございます。
果たしてシャイデの予想は当たるのか?
はたまたフラグと化してしまうのか?
次話もよろしくお願いいたします。




