表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/57

第12話

 ユリウス殿下が今日もお取り巻き達に囲まれている様子を、私は遠巻きに眺めていた。途中近くを通ったが、殿下からお声がかかるどころか、気にかける素振りもなく、完全にスルーされてしまう。


 ────殿下にランチのお誘いを断られてしまいました。


 私はあの鳥籠の中の夜鳴鳥を眺めながら、一人呟いた。


「詰みだわ・・」


 殿下の心は猜疑心で溢れている。打ち解けようと近づいたところで逆に疑念を増すだけでは、最早打つ手無し。私の運命はやはり、この夜鳴鳥の様に鳥籠の中で、殿下の顔色に怯えながら過ごすしかないのだろうか。


 一人溜息をついたところだった。鳥達の世話をしにユミル・ガーベリアがやって来たのは。


「クローディア・・様」


 しまった。ユミルが昼休憩に此処へ来るの、すっかり忘れていた。なんだか私がユミルの事を待っていたみたいじゃない。


「あ、ああユミル、ご機嫌よう。そういえば貴方は鳥達の世話をしてくれているんだったわね」


「クローディア様も餌、あげてみますか?」


 ユミルが手にしたバケツの中には野菜スティックが入っており、これをトングで差し出すらしい。興味を惹かれた私は餌やりに挑戦してみる事にした。野菜をつかんだトングを恐る恐る鳥籠の中へ差し出すと、しばらくして木の上に停まっていた夜鳴鳥が、翼を羽ばたかせて地へと舞う。近くで見ると結構な大きさで、翼の風圧を受けて情けなくもビクリとしてしまった。野菜を近くの地面に置いてやると、夜鳴鳥はその大きな嘴で器用にそれを咥えて見せた。


「わぁっ、食べた!」


 自分のあげたものを食べてくれると、やはり嬉しい。隣でユミルが笑ったのが空気で伝わった。ちょっとはしたなかったかしら。


「楽しいですか?」


「ええ、とても楽しいわ。ありがとうユミル」


「いえ。楽しんでもらえて良かったです」


 ユミルにトングを返すと、ふと、視界の端に異物が映り込んだのに気がつく。嫌な予感がして視線をそちらへと移動させると、今度ははっきりと映り込む、空に浮かんだ「心を読む」の文字。


 えっ・・


 そして私は見てしまった。建物と建物の隙間の暗がりの中からじっと私を見つめる、黒い二つの目────。


(嫌ぁぁぁーーー!! 殿下!!)


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ