第10話 影の救出と西への道
騎士の言葉を聞き、俺は即座にロープを焼くのを止めた。深く息を吸い、微動だにせず、グレッグ王と護衛たちがパニック状態で部屋から逃げ出すのを待った。それは戦略的な選択だった。魔力は戻りつつあったが、体はまだ弱り切っていた。注目を集めずに脱出するために、この予期せぬ隙を利用する必要があった。
静寂が戻ると、俺は小さな黒い炎で残りの拘束を焼き切り、自由になった。筋肉が悲鳴を上げたが、無理やり立ち上がった。湿った廊下をゆっくりと歩き、残された魔力の一滴一滴を節約しながら進んだ。
(ここで倒れるわけにはいかない。あんな光景を見た後で……あのクズにされたことを思えば、絶対に……)
影の中を進んでいると、前方から二人の戦士がこちらに向かってくるのが見えた。その後ろには、フード付きの黒いマントを羽織った十数人の一団が続いていた。俺はその場に立ちすくみ、反射的に持ってもいない武器に手を伸ばそうとした。不測の事態を予見し、身を構える。
「おい、そこのお前!」男の一人が叫んだ。
もう一人の、痩せていて鋭い目つきの男が俺を凝視した。ボロボロの姿と、雪のように白くなった俺の髪を分析しているようだった。
「リック、あいつは囚人の一人だろう。あの様子を見てみろ」
「ああ、お前の言う通りだ」最初の男が答え、友好的な態度で近づいてきて自己紹介をした。「俺の名前はソラだ。お前、名前は?」
「タイトだ」疲労困憊の中、声を震わせずに答えた。
「ここでどんな目に遭わされたか想像もつかないが、助けに来たぞ。俺たちは『正義の味方』ってやつだ」ソラは自信に満ちた笑みを浮かべて言った。「ところで、他の囚人たちの場所を知らないか? いくつか牢を通ったが、すでに空だったんだ」
「廊下を右に行って、それから左に曲がれ」俺は、先ほど見た生気のない顔ぶれを思い出しながら説明した。「あっちに、かなりひどい状態の囚人たちがいる」
「助かるぜ、坊主! 行くぞリック、急ぐんだ!」ソラが叫び、一団は素早く立ち去っていった。
俺は出口を探し続けた。呼吸するたびに肺が焼けるようだったが、生きたいという意志が勝っていた。ようやく、長い廊下へと続く狭い階段を見つけた。突き当たりには重厚な木の扉。それを開けると、冷たい夜風が顔に当たった。
外に出られたのだ。周囲の街は騒がしく、松明の光と馬の足音が石畳の通りに響いていた。
(脱出した……。あとは前へ進むだけだ。西へ行く。何としても強くなってやる。あのクズと、あの腐りきった王族どもに復讐するまでは、死んでも死にきれない)
周囲を観察するために、低い家の屋根に飛び乗った。骨が痛み、頭がズキズキとしたが、自分がどこにいるのか知る必要があった。近くの店の看板が目に入った。「ゲートウェイの花屋」。
(やはり、ここはゲートウェイだったか……)
東から西へと続く土の道を見つけた。パトロールに見つからないよう、屋根から屋根へと飛び移り、街道を目指した。馬もなく、体は物理的な限界に達していた。
ようやく本道に辿り着いた。この先に何があるのか分からなかったが、歩き続けた。一歩一歩が気絶との戦いだった。今、魔物に襲われたら、それで終わりだ。
月明かりの下、二時間ほど歩いたところで、視界が暗くなり始めた。膝が崩れ、俺は冷たい地面に倒れ込んだ。意識が遠のく中、ゆっくりと目を閉じた。
***
翌日……
ゆっくりと目を開けた。天井は明るい木材で、薬草の匂いが部屋に満ちていた。ベッドの端に座ると、体は重かったが、以前のような鋭い痛みは消えていた。
(ここはどこだ? それに、この部屋は……?)
ドアが開き、一人の若い女性が入ってきた。小柄で、蜂蜜色の瞳と短いオレンジ色の髪をしていた。その表情は穏やかで、プロフェッショナルな雰囲気を漂わせていた。
「あら、目が覚めたの?」彼女は近づきながら言った。「まだ動いちゃダメよ。体の中はまだボロボロなんだから」
「だ……誰だ、あんた?」俺は反射的に身を引いた。不信感がまだ根深く残っていた。
「私の名前はアリヤ。あなたの怪我を治療したのよ。まあ、ひどい状態だったわ」彼女は優しい笑みを浮かべて説明した。「私の仲間が道で倒れているあなたを見つけて、ここまで運んできたの」
礼を言うか、さらに問い詰めるか迷っていると、ドアを叩く音がした。
「入ってもいいか?」低い声が尋ねた。
「ええ、もちろん! 入ってください、ボス」アリヤが答えた。
巨大な男が部屋に入ってきた。身長は二メートル近くあり、広い肩幅と逞しい腕をしていた。茶色の髪をポニーテールにまとめ、背中には分厚い刃の広剣を背負っていた。彼は強力なオーラを放っており、魔力の圧力という点ではカミ指揮官に匹敵するものだった。
「ガキが起きたか」男は、傲慢に聞こえるが必ずしも敵意的ではない口調で言った。
「ええ、ボス。でも、まだ完全復活には程遠いわ。『神族異能』としての知識と魔力制御をフル活用して治療したけれど」アリヤは俺に向き直った。「タイト、この人が私たちの組織のリーダー、ラックよ」
「待て……どうして俺の名前を知ってる? 誰にも言っていないはずだ」警戒心を最大にして尋ねた。
「ああ、あなたを見つけた仲間たちが、すでにあなたのことを知っていたからよ」アリヤは平然と答えた。
(……つまり、彼女の「仲間」というのはソラとリック、ゲートウェイを襲撃した連中か)俺は少し緊張を緩めた。「……すまない。つい声を荒らげた」
「気にしないで」アリヤは言った。「噂をすれば、ほら来たわよ」
ソラとリックが部屋に入ってきた。リックは禿頭で痩せた、典型的な槍使いの風貌。青い髪の射手で頬にX字の傷があるソラは、まるで旧友のように俺に微笑みかけた。
「よお、タイト、相棒!」ソラが言った。
「……ああ」俺は素っ気なく答えた。まだ完全に信頼できるかどうか分からなかったからだ。
それから長い会話が続いた。どうやってあの牢獄に辿り着いたのか聞かれた。俺は基本だけを話し、前世のことや新しいスキルのような重要な詳細は伏せた。賢明な選択だ。情報は力だ。村のこと、アリエルの関与、そして瘴気の石について話した。
「でも、その怪我はどうしたの? どうしてあんな状況になったの?」アリヤが、俺が発見された時の状態を不思議に思って尋ねた。
「捕まる前に、森で強力な敵と戦ったんだ。魔力が底をつき、すでに負傷していたところに帝国の騎士たちが現れた。抵抗できなかった」と説明した。
続いて、ラックが自分の身の上を話した。東にある彼の両親の村も魔物に襲われ、両親は虐殺で亡くなった。当時、ラックは王立帝国の騎士だったが、真実を知って復讐のために脱走した。彼の調査により、貴族たちと王自身の野望に満ちた計画が明らかになった。今、彼は情報を流す代わりに、西のヴェルモーラ王国から支援を受けているという。
「歩けるか、タイト?」ラックが立ち上がって尋ねた。
「……ああ、なんとか」俺は足の感覚を確かめながら答えた。
「ついて来い。見せたいものがある……」
第10話 終わり




