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treasure seeker  作者: 草葉 影野
《過去編》07 嘘偽りのない願い
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《過去編》 7-2 右肩の相棒:回想02

過去編とは言え、ディーの方はのんびりムードですねぇ……と言う話?

 『また、逢えるよ』


 カイリは別れ際にそう言って約束してくれた。でも、そう言えば彼のことは名前と顔しか解らない。何処に住んでいて、幾つで、とか、普通聞くだろうという事も何一つ聞いていないのを思い出して、ディーは後になってかなり後悔した、とスタンに零したら、ヤツはこともなげにこう言った。


『大丈夫だよ。ちゃんと“約束”したんだろ?

 お前は知らなくても、あの子はお前のこと知ってるから。

 大人になったら、あっちの方から会いに来てくれるよ』


 それでも……と後悔しきりな弟分に、駄目押しの一言。


『なんだ、お前はカイリの事信用できねぇのか?』


 ズキ。胸が痛んだ。ぶんぶん首を横に振る。


『じゃ~、会える日を楽しみにしてるんだな。ま、それまでに力が足んなくて死んじまいました~、なんて事のねぇように、しっかり鍛えとかなきゃなんねーけどよ』


 そんな事もあり、ディーは日々の訓練にもより一層真剣に取り組むようになった。



   *   *



 話は戻って荒野に停泊中のティンカー・フィッシュ号。

 シェリルの持ってきたコーヒーとカップケーキでティータイム。


「へぇ~、もう銃の練習始めてるのねぇ」


 その声色に、何処か微かに否定的な色が混じっている。


「シェリル、銃嫌いなの?」


 少年の素朴な問いに、シェリルは『う~~ん』と唸る。


「なんとなく、ね。何て言うか、“簡単に人を殺せてしまうから”って言ったら言い過ぎだとは思うんだけど……。

 引き金を引くだけで、弾丸は放たれる。

 そこには、慈悲も無慈悲もなくて、ただあるのは当たれば絶対に相手を傷つける武器としての現実だけなのよね」


 珍しく重い表情をするシェリルに、リョウヤは優しく笑いかける。


「銃は、持つ人間次第で威嚇だけの道具にも、人を殺す武器にもなる。

 それを、ディーに教えてやれるのは、やっぱり俺達の役目だと思うんだ」

「――――そうよね。銃を、唯の道具にするのか、武器にするのかは、やっぱり手にした人次第よね。

 まぁ、この子は頭の良い子だから、ちゃんと意味を理解してくれるだろうし」


 カップケーキにかじり付いている少年を見つめ、シェリルは安心したような笑顔になる。

 そして、ぐしゃぐしゃと癖のない少し固めの金髪をかき回した。


「んがッ!? 何するんだよォ?!」

「ははは。実を言うと、魔法が出来るんならそれでも良いかとも思ったんだけどね。

 今の所、ディーは魔法(そっち)は苦手みたいだし、原因も分からないしな」

「結局分からなかったの? リョウヤの実家でも分からないなんて、有る意味凄いわよね~?」


 シェリルの言葉に何故か咽せながら、リョウヤが頷く。


「……分かった事と言えば、遙か昔に滅びたとある星の人類種のDNAと酷似したパターンを持っているらしいってだけだからな」

「遙か昔って、どれくらい昔なの?」

「えぇと、確かざっと十万年近く前って書いてあったかな……」


 詳細な検査結果として後に渡された膨大なデータの中から、特に目を引いた記述だけは頭に入っているらしく、リョウヤが記憶を辿った。


「それって、殲滅歴の頃って事ね。ほんと、忍者組織っていつから存在してるんだか分かんないわよね~。

 だってその頃にはもう、DNAの解析を標本化出来る程の文明レベルで居たって事でしょ?

 ―――――怖い組織よね」


 いつになく真顔なシェリルに、その怖い組織出身のリョウヤが苦笑する。


「まぁ、な。忍者組織の成り立ちは色々事情が有るからな。

 もう俺はその資格を失ってしまったけれど、忍者の血には生まれつき精霊魔法使いの素質が備わっている。

 外の世界では未知なるモノ、或いは畏怖すべきモノとして称されるこの<能力(ちから)>も、俺達の間ではごくごくありふれたモノだ。

 だがその、外では類稀(たぐいまれ)なる<能力(ちから)>を持つと言うことは、責任と義務を負う……。

 俺達を縛る赤い鎖、それが忍者が連綿と受け継いできた(ごう)なのさ」


 遠い目をして話すリョウヤの横顔を、ディーは話の内容が良く分からなかったけれど悲しそうだと思った。


「……それって、カイリにも関係有る?」


 何処か笑顔が寂しそうだったカイリの顔と、今のリョウヤの表情がだぶってしまう。


「カイリ、か。そうだな、あの子には俺なんかよりずっと関係ある話かも知れないな。

 なにせあの子は―――――いや、辞めておこう。こんな事、お前達自身には関わりない。

 お前と、あの子の間にはちゃんと友情があるんだから……」

「……意味分かんないよ、それ」


 リョウヤは時々自己完結する癖がある。先々を考えて、自分の中で答えを出してしまって結果だけを話す。だからそんな時は少しも話の内容が繋がらない。

 リョウヤが優しい笑顔で膨れっ面のディーの頭を撫でる。


「例え今は分からなくても、お前がいつか大人になってあの子と再会したら自然と分かるよ。

 だから、今はその時まで生き残れるように力をつけなくちゃな?」


 なんだか、上手く纏められてしまったような気がするけれど。

 今は、確かにそれが一番重要なんだと分かるから。

 それは宇宙へ出る時にリョウヤと交わした“約束”でもある。


 だから、今は。”約束”を守る為に―――――。

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