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treasure seeker  作者: 草葉 影野
現在編.04 魔女の住処にて
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4-7 大前提は美味い飯?

過去編でスタンを書いてた時と同じで、魔女さん書いてると楽しいですw

「ふふ、だったら良いんですけど。あの人は、ずっと悔やみ続けているから……」


 (いたわ)る様なユイリの言葉に、魔女は


「まぁ、そうだな。だが、それは奴が自ら選んだ道だ。しかしな……私は常々思うんだよ。

 奴だけに背負わせてしまった所為で忍者は……()()()()しまった。

 忌まわしい”血の鎖”によってな」


 ”血の鎖”―――。その言葉を口にする時、魔女は酷く苦しそうな表情になる。


「エリザベス様……。―――大丈夫ですよ。我々は……いえ、少なくともボクは、忍者である事が誇りですから」


 いっそ、清々しいまでに言い切ってみせるユイリを魔女が辛抱溜まらんと言わんばかりにギュウウウウウと抱きしめる。


「ユイリ……あーもう。アンタって子は、なんて良い子なんだろうねッ!!

 私が男だったら今すぐにでも嫁に貰いたい位だよ~!」

「く、苦しいです、エリザベス様っ」


 何だか話について行けないライトは黙々とクッキーを頬張っていた。

 いや、だってスゲー美味いんだもん、コレ。


 忍者って何か込み入った事情が色々有りそうだけど、こんな美味いもんが作れる人が沢山居るってだけで、ライト的にはもの凄~く羨ましい限りで。

 はぁ、ホント、去月帰ってきたら一度真剣に頼んでみようかな?

『船に居る時だけで構わないので、出来たら俺達のご飯作ってくれませんか?』と。

 何て事を考えていたら、いつの間にか横にまで来ていた魔女に思いッ切りほっぺたを(つね)られた。


「いだだだだだだだだッ!! ―――いきなり何するんですか?!」

「いきなりって……何度も呼んでんのに返事しないからだよ。ぼーっとしてるんじゃないよ。何だい? 考え事かい?」

「あ、いや、今、俺の所にも忍者の里から一人、預かってるんですけど、そいつもまた料理がスゲー上手いんですよ。

 一回だけ作ってくれたんですけど、その時の超~美味い飯がみんな忘れられなくて……。

 帰ってきたら、これから船に居る時だけでも飯作ってくれるように一回頼んでみようかなって」


 どうせ隠すような事でも無い。ライトは全部白状する。


「へぇ~。忍者って誰なんだい?」

月護(つきもり)去月(さりづき)っていう人ですよ。本名かどうかは分かりませんけど」


 ライトの言葉に、魔女は随分と怪訝(けげん)そうな顔をして、ユイリの方を向く。


「あ、あの、ええと……お館様が武者修行に丁度良いからと、ライトさんに押し付けたんだと、噂になっていました。月護(つきもり)でも、一番若いから、経験を積ませようとしてるんだと……」


 ユイリが妙にしどろもどろになって魔女に説明している。


「ふぅぅぅん。じゃあ、もしかしてアンタの船に乗ったら、毎日とまでは行かないまでも、美味しい食事が食べられるって事かい?」


 もう既に魔女の顔は悪巧みしている童話の”悪い魔女”そのものだ。


「え、いや、その……まだ頼んでもいませんからね? 嫌だって言われたらそれまでなんですから!」


 一応、弾幕を張っておく。まさかとは思うが、万が一、この魔女がウチの船に乗り込んで来たりなんかしたら……。

 色々面倒臭い事この上ない。多分。いや、絶対にだッ!!


「あ~~~。絶対来んなって思ってるね、英雄クン。

 どーしよっかなー。行こーっかな、止めとこっかなー♪」


 魔女は変な節を付けて楽しそうに歌いながら、その場を離れていく。


「ど、どうするんです、ライトさん。エリザベス様、かなり乗り気みたいですよ?」


 ユイリがぼそぼそと耳打ちしてくる。


「うーん、困ったな。まだ飯の件は去月本人に話しても無いんだけど……。

 それに、去月だって任務で忙しいだろうから、そうそう俺達の飯なんて作ってられないだろうし……」


 大前提が美味い飯なのだから、まずはそこからだろう。


「でも、去月……さんなら、お館様が任務数を減らしてるらしいですから、ちゃんと頼めば作ってくれるかも知れませんよ?」

「だと良いんだけどなぁ。去月の飯、ホントに超美味かったから。おかげで今まで普通に喰ってた保存食が全然美味く思えなくてさ」


 胃袋ってのは正直だよな。やっぱり飯は不味(まず)いよりは、美味い方が絶対良いに決まってる。


「里の本殿(ほんでん)へ務める事になると、一番最初は何の仕掛けも無い厨房の仕事から始めますからね。

 とは言えそれも、最低限の調理が出来るようになる為の修行ではあるんですけど……。

 そこでお料理が楽しくなって趣味になる人も居るんですよ」


 そう言うからには、目の前のユイリもそうだったのだろう。


「おーい、英雄クン!! ユイリも!」


 少し離れた場所に居る魔女が大声で二人を呼ぶ。


「はーい、って何だろ?」

「あれ……あんな所にドアなんてあったかな……?」


 二人はテーブルから離れ、魔女の側へと歩み寄る。


「エリザベス様、このドア……」


 恐る恐るユイリが聞くと、


「ん、今付けた!」


 と、あっけらかんとした魔女の返事が。


「へ、付けた……の?? ドアを? 今? 何で???」


 ああ、ホント。流石はスタンの師匠。行動が読めなさ過ぎる―――。

 ライトはこの後の展開を戦々恐々としながら見守るしかない。

 どうせ俺には選択権なんて無いのだから。それはもう、諦めの境地というヤツだった。

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