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treasure seeker  作者: 草葉 影野
現在編.04 魔女の住処にて
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4-2 昼ご飯の時間

食事ってのは大事ですよ。胃袋掴まれると後が大変。って話???

 黒装の魔女の住処は、意外にあっさり判明した。

 試しにネットで検索したら、トップで出て来たのだから、大した物だ。……と言うか、ホントに有名なんだな。


「うーん。方向が微妙に違うなぁ。しかも、この星砂嵐が途切れないので有名な所じゃないか……。

 嵐、嵐か……良い思い出無いんだよな」


 つい最近、忍者組織の本星へ行った時にも、電磁嵐で遭難して、救助して貰ったという苦い経緯がある。


「あのオバサン、ヘンなトコに住んでんのね。砂嵐の星って、超絶気が滅入りそうなんだけど?」


 呆れたようなアイシャの言葉。


「自分で言ってたけど、引きこもって研究ばっかりしてるんだろうしなぁ。あんまり気にしないんじゃないか?」

「うっわ、あり得ない!!!」

「ストレス溜まりそう……」


 ―――どうも、俺の意見は女性陣には不評らしい……。


 取り敢えず、ガンフの爺さんの所へ二人とティンカーフィッシュを置いて、自分用のエアーピットで魔女の元へ出掛けようかと思う。

 流石にまた嵐の吹き荒れる場所へ行くなんて言ったら、ケルベロスに何を言われるか……。

 それに今度は忍者組織の本星のように人材も設備も揃った場所ではないのだし。


「そろそろお腹すいたな~。お昼ご飯にしない?」


 銀河標準時仕様の時計を見て、アイシャが提案してくる。


「そうだな……。もうそんな時間か。それにしても、昼メシったって、なぁ」

「そう、よねぇ……。それ程食欲湧かないっていうか」


 元々このティンカーフィッシュには簡易、ではないちゃんとした設備のダイニングキッチンが(しつら)えてあるのだ。しかし、三英雄でも唯一料理の腕が確かだったシェリルが亡くなってからはずっと埃を被るがままの状態だった。

 この間、久し振りにライトがホットミルクを作ったくらいで。

 あの時、自分の使う小さな鍋くらいは洗った覚えがあるけれど、その他の物には触った記憶も無い。

 だが。

 たまたま食料備蓄庫の点検に行ったライトが見たのは、キレイに磨き上げられた、チリ一つ無い美しいキッチンだった。

 ああ、そう言えば。去月が俺達の食事を作るのに、『余りに汚いから、ついでに掃除したぞ』と言っていたのを思い出した。

 しかし……これが『ついで』ですか? 去月さん。思わずさん付けしたくなる程の変わりようには舌を巻く。

 シェリルは料理は好きだったけど、掃除とかはそうでもなくて、鍋底の焦げたのとか、換気扇の油汚れとかは結構放置だった。

 まぁ、換気扇なんかは一度ぼやを起こし掛けてからは、たまーにリョウヤが掃除していたけれど。

 いや、ホントに、全てをそっくりそのまま入れ替えたのかと思う程の輝きぶりだったのだ。

 そのすっかり綺麗になったキッチンで作ってくれたあの時の食事……。


「すっっっっっっっんごく美味(おい)しかったのよねぇ……あのゴハン」

「うん。美味しかったよねぇ。作りたてであったかくってさ」

「ああ、そうか。そっちはまだ温かかったんだな~。俺が喰った時はもう、ちょっと冷めてたけど、でも美味(うま)かったぞ?」


 みんな、考えてる事は同じだ。また去月がご飯作ってくれないかなー、と。

 まぁ、また居ないんだけどさ、アイツ。


「忍者なら誰でも、ある程度は出来るって言ってたけどさ。

 アレって絶対ある程度ってレベルじゃ無いよね?」

「確か、本星での修行の最初が厨房だそうだから、一通り出来るようにはなるんだろうけど……それだけじゃあの腕にはならないと思うな。正直、シェリルのメシより美味かったし」


 記憶の中のシェリルの料理は、確かに美味かったけれど、何というか……異様におおざっぱ、というか、ザ・男の料理、というか。

 調味料とか目分量だからか、味整えるのにだんだん量が多くなってたような。

 一方で、この間の去月の料理は、素材の味を上手く引き出しているような、結構繊細な感じの料理だった。

 消化の良い物で作ってあるとも言ってたし、恐らく栄養とか、俺達の体調まで考えてくれていたようだ。


「ああ、もう、仕方ないじゃない! 去月今出掛けてて居ないんだから!! 保存食食べるしかないの!!!」


 不毛な会話を続ける俺とアイシャに、シェーラがいい加減切れた。

 ……………。

 はぁ――――――。

 でもやっぱり、三人の口から出たのは深いため息だけだった。



     *      *



「悪いわねぇ~。呼びつけた挙げ句に家の掃除までやって貰っちゃって」


 情けない笑顔で、さして悪いとも思っていなさそうな謝罪をしているのは、宇宙三大賢者が一人、黒装の魔女こと、エリザベス・ラ・ダルブーシェだ。


「構いませんよ。ジュウロウからも、『行ったら多分掃除したくなる位にはゴミ屋敷だから、覚悟しておけ』って言われましたから」

「……あンのジジイ。相変わらずくっだんねぇ事抜かしてんな。誰の家がゴミ屋敷なんだっつーの」


 すっかり苦虫を噛み潰したような表情になる。


「確かにゴミ屋敷とまでは行きませんでしたけど……。せめて生ゴミだけはその都度キチンと処理して頂かないと……。見た事ないカビが生えてましたよ?」


 相手の言葉にまた情けない表情に戻る。


「あ、あははははッ!!」

「幾らダルブーシェ師といえども、不死身ではないのですから。変異種とかには此方でも完全に対処出来ないかも知れませんし、充分お気を付け下さらないと……」


 ちょっと哀しげな顔でそんな事を言われると、造りが美人なだけに妙な凄みが出てコワイ。


「わ、分かった、分かった!! これから気を付ける!!!」


 これ以上痛い所を突っ込まれるのもゴメンだ。早々に切り上げるに限る。


「所で、わざわざ今日アンタに来て貰ったのには、聞きたい事と、実験に付き合って欲しいのと両方あってね。一応、ジジイの了解は取ってあるから」

「はい、(うけたまわ)っております。ボクで協力出来る事でしたら何なりとお申し付けください」

「それ聞いて安心したよ。―――ああ、そうそう。アンタの事は、何て呼べば良いんだい?」

「では、『ユイリ』と……。御神護(みかもり) 結理(ゆいり)と名乗っていますから」

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