異世界探索 【1】
「えっ、え?」
「異世界に行くためには、誰か異世界に行ける人と触れてないと駄目だから、」
魔導士ちゃんが淡々と説明してくる。
それから、「だから!」と言って手を差し伸べてきた。
「手を繋ごう!」
「え!?」
待って、だからこういうの初めてなんだって!
てか何もかもが初めてかも、だよ。
異世界に行くのも、女の子と手を繋ぐのもぉお!
「て、手……?」
「もう、早く!」
心の準備がぁああ、とか、そんなことで嘆いているうちに手を握られる俺。
「えっ、お、あ!?」
「しっかり握っててよ~?」
魔導士ちゃんの手に力が入る。
握り返すと、魔導士ちゃんの体温も同時に伝わってきて、ドキッとしてしまう。
何か魔方陣のようなものが出るのかと足元を見るが、それも現れる気配が無かった。
「目、瞑って」
「えっ」
魔導士ちゃんの言葉に少し戸惑いながら、言われた通りに目を瞑る。
次の瞬間。
「異世界、ゴー!」
と言う、彼女の声が響いた。
「ふぐぅうっ……⁉」
体全体に、強い衝撃があった。
ぐっと縛られるような。
それと同時に、吐き気のするような浮遊感がくる。
それから数秒後ほど経っただろうか。
「もう、目開けて良いよ?」
そう言う声が聞こえ、ゆっくりと目を開ける。
一番最初に使えるようになった耳から聞こえて来たのは、ザワザワとした生活感の溢れる音だった。
その次に明るくなった視界には、幸せそうな人々の暮らしが見える。
「とーちゃくっ!」
「え……ここが……?」
「そう! 異世界だよ!」
そこには自然でいっぱいの明るい世界と、走りながら笑う子供たちの笑顔、隣で笑う、魔導士ちゃんの笑顔があった。




