異世界人 【3】
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「どういうことだ」
広くて大きな部屋に、低く重い声が響く。
黒くて深い椅子に座った白髭の長い男が、焦げ茶色の机の上で手を組んでいた。
その目は細く、睨んでいるようにも見える。
そんな男の前に頭を下げて立っているのは、茶色く長いローブをまとった、三十代ほどの男。
「最近は、出現する怪物も増えております。今週は二回目ですぞ。一週間に二回も現れているのは初めて。もう何人もの犠牲者を出しております」
「ただ怪物がその気になったから出てくるようになったのではないのか。それを、この世界に他の世界の人間がいるからだと決めつけるのは、無理があるのでは?」
それを聞いて、三十代ほどの男は一度顔をあげ、「はっ」と声を出す。
「ですが最近、ここの寮に住む魔導師が、この世界の人間のものではないという匂いを嗅いだと耳にしました」
「それは本当か」
「まぁ、噂には尾ひれがついて入ってくるということもあります。信用がなりませんが、もし怪物がその人間を目的として現れるようになったのであれば、その人間を早く捕まえなければ、我々が代わりに戦い、血を流すことになりますぞ」
「そうか、わかった。もしその話が本当なら、その人間を捕まえることになるな。そしてもし、その人間が反撃をしてくるようなのであれば、その時は戦うのだ」
三十代ほどの男は、頭を下げ続けてずれた眼鏡を持ち上げ、体を起こした。
整ったシャープな顔には、少し疲れが見えていた。
「はっ、それでは、失礼します」
三十代ほどの男は、さっと後ろを向き、ふわりと広がったローブを押さえた。
そして暗い廊下へと出て行く。
一人だけになった部屋で、白髭の長い男は、手を組み直した。
そしてふと、記憶の片隅に浮かんだ人物の名前を呟く。
「__和泉、要……」
そしてもう一人浮かんだ人物は。
「リサ……」




