異世界人 【1】
「どういう事だよ?」
「私にも、わからない」
そんなの、更に訳わかんねーよ。
眉を寄せる俺に、リサは「でも」と呟いた。
「パラレルワールドが出来た、って言えば良いのかも……」
パラレルワールド?
俺はその言葉を、心の中で繰り返す。
世界が、過去のどこかで分岐して、ここと並行になった世界。
そこは、今とは別の未来が存在している世界で、この先に存在するはずだった未来がある世界。
「私達がここに来て、シャーロ達に出会った。変わったのは私達に出会ったシャーロ達だけだと思うけれど、私達と関係のない周りにも、少しずつ影響を与えてる」
だから周りも変わる、と言う。
だから、進むべき未来が変わったのだと。
__ゴゴゴゴゴゴゴゴ
リサの言うことを呑み込もうと考えると、いきなり地面が揺れた。
うおっ、と慌てる俺に対し、リサは冷静だ。
「ほら。また変な生物が出た……」
外で何かが倒れる音が響いている。
人の命令する声も。
「どういうことだよっ、てか何でそんなに冷静でいられるんだ!?」
窓から外を覗いて、あたふたする俺。
外にいたのは、前に見たドラゴンではない。
一つだけしかない大きな目が、ぎょろりと不気味な怪物だ。
人間の何倍もあって、全体的にヌメヌメしていそうな黄緑色。
スライムみたいだ。
「あれは大丈夫。他の人達がやっつけてくれる」
そんな事はどうでも良いと言うように、リサは話続ける。
「要がこの世界に来たらしい日から、怪物やドラゴンなんかが現れる数も増えてる。私達は、この世界の人達とは違う雰囲気をまとってるから、勿論、匂いも違う」
「だ、だから何だよ」
リサの冷静さを見習って、俺も正座をしなおした。
「私達の匂いを嗅ぎ付けて、来たのかもね……」
怪物が来ることによって、それを倒すための戦いが増える。
血の色に染まる。
犠牲者が増える。
そして自分達異世界人の存在も、バレる。




