魔導師生活 【9】
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
寮に着いてまず、校舎の方へ入った。
ここは学校らしく、見習いの魔導士はほとんどがここで授業を受けているらしい。
認定された魔導師は大体が自由に活動しているが、授業をしたいと思う人なら、もっと詳しく授業を受けることもできるのだとか。
そんなこんなで今目の前に立っているのは、大柄な男性。
白い髭を長く伸ばして、それと同じように白髪も長く伸びている。
年齢は六十過ぎと言ったところか。
真っ黒いローブを羽織っている彼は、この学校の偉い人にあたる人物らしい。
「認定済みの魔導師の和泉 要くん。もう一人は見習い魔導士で、クラム・アイリという女の子です」
「ほう、そうか。なかなか良さそうではないか」
大柄な男性は、長く伸びた髭で隠れた口元をあげて笑った。
くりっとした目が細くなって、目元にも皺ができる。
雰囲気も自然と優しくなって、俺が言うのもなんだけど、可愛らしかった。
「君達二人の寮は別々になるが、それでも良いかね?」
「はい、宜しくお願いします」
ここの寮は、一部屋に一人のスタイルらしい。
シャーロの後に続いて、部屋まで案内してもらう。
寮の廊下には人があまりいなくて、自分達の足音が無駄に響いた。
「ここだぞ」
赤い絨毯の敷かれていた階段を上って、ここは三階。
その突き当たりの部屋だ。
角の部屋ならば景色も良さそうだな、なんて考えながら、その部屋にはいる。
ホテルのようにきっちりと整えられていて、思わず驚いた。
「すげぇ」
それしか言えない気がする。
俺が言葉をあまり知らないのも原因の一つだけれど、部屋に入ってまず言えることは、すげぇ。
思ったよりも綺麗すぎる部屋に見とれていると、あとは好きにしなよと言って、シャーロは出ていってしまった。
ここはもう自分の部屋になったのだから、少しくらい長い期間なら、旅行に出掛けて部屋をあけておいても良いらしい。
「わかった、有り難う」
と、俺はシャーロが出ていったドアに向かって言った。
おそらくシャーロはもう帰っていってしまって、そこにいるはずは無いのだけれど。
とりあえず、すげぇ。




