魔導師生活 【8】
アイリのお母さんが作ってくれたご飯は、俺が母親に作ってもらっていた食べ物と変わらないものだった。
サンマもあるし、味噌汁もある。
異世界ならば、何か怪しげな食べ物が出てくるものなのだろうかと思っていたりもしたが、それは違うようだ。
どれも美味しくて、どこか懐かしかった。
最近は母親の料理なんて食べなくなってしまったからな、とも思った。
「そういえば、お母さん」
箸を止めて、キッチンの近くで座るお母さんを見る。
それからアイリに話したようなことを、お母さんにも話してみた。
「それで、その寮には入っても良いのかなーって」
「なるほど、そんなところがあったのね。二人と離れるのは寂しいけど、行きたいなら行きなさい」
「良いんですか?」
アイリのお母さんは、良いよと笑顔で言ってくれた。
最後に残っていたサンマを口にいれると、ごちそうさまと言って席を立つ。
時計を見ると、十二時からまだ三十分ほどしか経っていなかった。
まだ時間はあるし、もう一度あの場所に行ってみるかと、再び家を出た。
「おう、要くん」
「なんだ、いたのか」
家を出ると、すぐ側にシャーロが来ていた。
一人だ。リサは寮に戻って寝るらしい。
これから寮に行こうとしていたのだと伝えると、知っておる、と言われた。
「なんで知ってるんだ」
「君の心の中を透視してた」
「ん?」
「きーみーのーこーこーろーのーなーかーをー」「あーわかったわかった」
心を透視するのはシャーロの得意技らしく、神経を集中させて、意識して聞くと、聞こえるらしい。心の声が。
変なこと考えてたらヤバいやつじゃないか。
「え、えーと、それで寮の話しなんだけどさ」
話題をそらし、寮の手続きは必要なのか、などの話しをして歩いた。
それから、空を飛びながら寮に着いたのだった。
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寮までの道での出来事。
「そう言えば、要くん。飛ばないのかい」
「え」
「われわれ魔導師は飛べるんだぞ。要くんは、こんな遠い寮までわざわざ歩いて行っているし、飛ぶという手段を使わないから不思議に思っていたのだ」
「シャーロさん」
「なんだ」
「早く言ってください飛びましょう」
「おう」
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