魔導師生活 【3】
「ふぁあ~……」
薄いカーテンを通して部屋に差し込む太陽の光で、瞼の内が明るくなる。
眉を少しだけ寄せて目を開くと、しっかりと休ませた体を起こして、ベッドの縁に腰かけ掛けた。
丁度良い感じに少し明るいダウンライトをつけて壁にかけられた時計を見ると、短い針は七のところを指している。
立ち上がって、服を着替えるためにクローゼットの前まで移動する。
Tシャツとジーンズを引っ張り出して、それを着た。
こちらの世界で借りた衣服で、中には剣士やらが着ていそうなカッコいい服もあったけれど、普段着なれているTシャツがあったので、それを借りることにしたのだ。
アイリは昨日の骨折で休んでいる。
そうしてやることも特に無い俺は、町の探索に行くことにしたのだった。
「アイリ……」
アイリの部屋を少しだけ覗くと、まだ寝ているようだった。
足元を見ると、白い包帯が巻かれている。
お医者さんが来てくれたのだとか。
一階におりるとお父さんが起きていたので、おはようございますと挨拶をして玄関を出た。
腕にはめた腕時計を見ると、もう八時になろうとしていた。
異世界の朝は、もう活動しているらしい。
森の中にあるこの家にも、町の賑やかな声が微かに聞こえてきていた。
木に囲まれた少し長い道を歩いて、町に出る。
見渡してみると、果物屋、八百屋、武器屋などが店を開いていた。
お金は少しばかり、アイリのお母さんから、ここで使えるお金と交換してもらっていたので、ある程度のものは買えるだろう。
「すみません、これくれますか?」
「はいよーっ」
試しに、リンゴを買ってみた。
美味しい。
ここは緑が多い。
そんなところで育ったリンゴだ。美味しいはずなのだろう。
周りはほとんどが木で、魔導師達が飼っているのか、馬がいたりする。
人々の雰囲気も温かくて、自然と顔が綻ぶような町だ。
リンゴをかじりながら歩いていると、ふと気配を感じて上を向く。
すると、何かがこちらに向かって飛んできたのだ。
「わっ……!」
それは、どこからどう見ても、一人の少女だった。




