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メ-ル彼女は、異世界から。  作者: 天川 奏
異世界魔導師認定
20/41

魔導師生活 【1】

 上を見上げると、さっきまでの分厚い雲はなくなって、何もなかったように青い空が広がっていた。

 そこを、真っ白な雲が流れていく。


 「せっかくのデートが台無しになっちゃったけど、有り難う」


 「ううん、良いよ。ちょっとビックリしたけど」


 俺はそう言って、苦笑いをする。

 異世界なんて勿論初めて来たし、こんな事になるなんて想像もしていなかった。

 

 「案外危険なんだよ」


 アイリも苦笑いを返して、「帰ろうか」と立ち上がる。


 「いっ……!」


 しかしアイリは、膝を伸ばし終える前に、崩れるように倒れてしまった。

 顔を少し歪めながら、足首を押さえている。

 捻挫なのだろうか。

 そうなら、きっとあのドラゴンに突き飛ばされたときか。


 「大丈夫? 俺、おぶってくから……ほら」


 アイリに背を向けると、その場にしゃがむ。

 少し恥ずかしいけど、一応彼氏だからな。

 有り難うと呟いたアイリは、ゆっくりと背中にまたがってきた。

 

 「重いかも……」


 「全然。それより、アイリは?」


 「大丈夫……」


 歩いてきた道を、記憶を辿りながら引き返す。

 後ろから回されたアイリの腕が少し動くと、首に息がかかった。

 ちょっ、近いっ……!

 顔が赤くなるのを感じながら、ただ歩く。

 周りは木が少なくなってきて、遠くの方に少しずつ木で作られた家が見え始めていた。


  ◆


 「た、ただいま帰りました」


 ぎこちなく挨拶をすると、奥のキッチンからアイリのお母さんが出てきた。

 アイリをおぶる俺の姿を見ると、驚いたように目を見開く。

 「おんぶなんかしちゃってぇ~」とでも言いたげに、少しニヤニヤしている。


 「要くん、どうしたの? それにその格好‼ 素敵じゃない⁉」


 今着ている服にも反応しているようだ。

 恥ずかしい。

 

 「あ、デート先でドラゴンが現れて……戦おうとしたアイリが突き飛ばされちゃって……」


 それから、ついさっきあった出来事を話した。


 「えぇ! 凄い! 要くんが本当の魔導師になったなんて!」


 「いえいえ、そんなことより、アイリを……」


 恥ずかしかったのもあるけど、アイリの方が心配だったから、苦笑いをしながらも部屋まで運ぶことにした。

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