異世界探索 【8】
ベッドの隣に敷かれた敷き布団で寝ていた俺は、自分の右側に置かれたそのベッドに頭をごちんとぶつけて、目を覚ました。
いてぇ。
薄いカーテンのかかった窓からは明るい光が部屋に入ってきていて、目を細めた。
どうやら、もう朝らしい。外からは鳥のさえずりも聞こえてきて……
これが噂の『朝チュン』!
と思ったら、ちょっと違うらしい。
ベッドとは反対側に目を向けると、見慣れない家具が置いてあったりする。
そうか、昨日から異世界に来たんだったな。
そんなことを思いながら、どうせやることもないんだろうしと二度寝をしようと目を瞑った時。
「おっはよう!」
高くて元気の良い声が上から聞こえたかと思えば、お腹にドスっと飛び降りてきた物体。
そのお陰で、二度寝をするために閉じた目が勢いよく見開いた。
ぐえ。
声の正体はわかっていた。
「んだよ、重いよ、アイリ」
眠たい目を擦りながら、俺の上にまたがるアイリを見る。
一度大きく息を吸いながら胸をそらしたアイリを、どうしたんだろうと無意識に見ていると、突然ずいっと近づけられた顔。
そして、キラキラとした瞳で元気よく俺の名前を呼ぶ。
「要!」
「ん?」
「デート!」
「ん⁉」
デート。
聞いたか俺。
デートだってよ!
その言葉だけで、何故か心臓が騒ぎ始める。
「ほらぁー、着替えろー‼」
「え、え⁉」
腕を引っ張られて、ズリズリと布団から引きずり出された俺は、アイリが選んだらしいコーディネートを持って着替えに向かわされた。
こうして、半分は無理矢理で着替えが完了。
「どこ行くんだよ?」
そう聞くとアイリは、えへへと歯を見せて笑う。
「凄い綺麗なとこだから、楽しみにしててね‼」
一体どこに行くのかと考えていると、腕をぐいっと引っ張られる。
そのままアイリに連れられて、玄関を出たのであった。




