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メ-ル彼女は、異世界から。  作者: 天川 奏
メール彼女と異世界魔導士
13/41

異世界探索 【6】

 「あら、魔導士ちゃんって何?」


 魔導士ちゃんとの会話ではしゃいでいると、向かいで俺達の話を聞いていたらしいお母さんが訪ねてきて、視線を戻す。


 「彼女に、魔導士ちゃんって呼んでと言われたので」


 そう答えると、お母さんの隣でケーキを食べていたお父さんもこちらを向く。


 「彼氏なのに、名前を教えていないのかい?」


 「うん、ごめんなさい。異世界の人間だってわかったら、嫌われちゃうかと思って」


 すると、魔導士ちゃんが体ごとこちらを向く。

 

 「私、本名は、クラム・アイリって言うの」


 「クラム?」


 「ううん、アイリって呼んで!」


 アイリはそう言うと、ニカッと笑う。

 良い名前だなと思いながら、アップルパイの甘さをリセットするように、ほろ苦いチョコレートケーキを口に運んだ。

 相変わらずスイーツなのに変わりはないが、チョコレートケーキに使われたビターチョコレートのお陰で、少しくどさは薄れた。

 

 そんなやり取りを見て微笑ましくなったのか、アイリのお母さんが、追加でパイ作ったらしいパイを運んでくる。

 こんなにいっぱいスイーツが出るとは思ってもいなかったけど、甘党なほうで良かった。

 もし甘党じゃなかったら、アップルパイとケーキを少しだけ食べたんでも、気持ち悪くなっていたかもしれない。


 「そう言えばアイリ。異世界の人間だってわかったら嫌われちゃうかと思ったって、どういうこと?」


 パイを運んできた満面の笑みのまま、隣に座るアイリに問いかけている。


 「あはは……要はね、異世界の人間じゃないんだよ。何て言ったら良いのかなぁ、私もよくわからないけど、この世界から見た異世界に住んでる」


 「異世界……って、それじゃあ不安よ! アイリ、良いの? 要くんと結婚して」


 えっ、いつの間にか、というか何か結婚の話になってる⁉

 というか、不安⁉


 「要くん、経験値とレベルはいくつあるの? 異世界からってことは、戦った経験も無いんでしょう?」


 少し前のめりになりながら聞いてくるお母さんを、アイリがまぁまぁと落ち着けている。


 「大丈夫だって。ほら、これでも私だって魔導士なんだから。見習いだけど」


 両手を腰に当てて胸をそらしたかと思うと、チロッと舌を出した。

 ここの世界の人と結婚するには、どうも経験値やレベルがないと、親の方が不安らしい。

 ちゃんとお嫁さんを守れる人の方が安心できるのだとか。

 それなら俺も、経験とかを集めなきゃいけないのかな?

 って、なんだ俺、結婚する気満々じゃないか。

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