異世界探索 【3】
ギシィッと軋んで開いたドア。
その揺れで、ドアについていたベルが、カランと音をたてる。
「うぉ……」
入った瞬間に、自然と口から声が漏れる。
家の中は、外見から予想していたものは全く違っていた。
外見からの予想よりもボロかったとか、小さかったとかじゃなくて、むしろ逆。
キラキラと光る電気の下には、想像よりもはるかに広い部屋。
そこに、ふかふかしたソファーや、木でできた大きな机が置かれていた。
奥にあるキッチンからは、甘い、リンゴパイのような香りが漂ってくる。
「すご……」
「上に上がる階段もあるよ?」
あまりの綺麗さに唖然としていると、奥にあるキッチンから、若い女性が出てきた。
「あら、帰ってたの? それで、えっと……その男の子は?」
落ち着いた暖色のエプロンをかけていて、後ろでしばられた髪は茶色く、カールされている。
片手には、予想通りのアップルパイがのせられていた。
それにしても、肌は驚くほどに白く、整った顔立ちに映えるメイクは、その女性をより綺麗に引き立てていた。
「ただいま。要、私のお母さんだよ」
「えっ、あ、初めまして、和泉 要です」
紹介されるままに自己紹介をすると、魔導士ちゃんのお母さんは驚いた顔をする。
「まぁ! いつも貴女の部屋からカナメカナメって聞こえるから、一体何かと思っていたけど」
「いっつも!?」
「とくに昨日は、やっと会えるーなんて叫んじゃって」
そんな会話をする俺達の横で、魔導士ちゃんは、ふへへっと照れた笑いを見せている。
彼氏だと説明されると、お母さんは両手を胸の前で合わせながら感嘆していた。
「じゃあ今日はパーティーじゃない! パイ、もっと作ってくるから待っててね!」
「はいはい」
楽しそうに鼻唄を歌いながら、また奥へと引っ込んでしまった。
それから、思ったことが自然と口から出る。
「魔導士ちゃんのお母さん、凄く若いんだね。二十代くらいにも見えるよ」
「本当は四十過ぎなんだけど」
「え!?」
「魔法の力って凄いんだよぉ?」
ニヤリと、上目遣いで見返されてしまった。




